市民と野党をつなぐ三田の会ー虹の会さんだ

市民の力で、野党共闘を実現しよう。

この国の民主主義はカタチだけでいいのか

ファシズムは民主主義から生まれるf:id:rainbowsanda170422:20190715141641j:plain

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 映画「新聞記者」を見てきました。この映画はウソとごまかしで権力を維持する安倍政権を意識したものですが、その裏側で政権を守るために国民を欺く情報操作が「内閣情報調査室」という政府組織で行われています。実在の組織である「内閣情報調査室=内調」は各省庁から出向してくる官僚の集合体ですが、総理直轄のベールに包まれた組織です。業務の一部には政権に批判的な野党やメディアや団体、民間人までもマークしてスキャンダルを捏造しメディアにリークして、相手側を潰すことをこの組織で行っています。資金も組織力あり、暗に権力側の圧力を匂わせて批判勢力を窮地に追いやる手口は、陰湿で恐怖感を抱かせるに充分です。手段を選ばない卑劣な安倍政権の実体とダブってリアリティがあります。

【ストーリー】

〈主要キャスト〉

東都新聞   ●吉岡エリカ:シム・ウンギョン   ●陣野和正(エリカの上司):北村有起哉

内閣情報調査室   ●杉原拓海 :松坂桃李   ●多田智也(杉原の上司) :田中哲司
内閣府職員          ●神崎俊尚:高橋和也

その他   ●杉原奈津美(杉原拓海の妻) :本田翼

 東都新聞記者・吉岡はチーフの陣野から差出人不明の大量のFAXを渡されます。FAXは大学新設計画に関する極秘情報です。FAXの1枚目はサングラスをした羊※のイラストが書かれていますが、サングラスの羊にはこの大学新設の本当の目的が軍事転用の生物科学兵器の研究にあることが暗示されています。この匿名FAXの主は内閣府職員の神崎です。神崎は大学新設の責任者ですが、軍事研究という裏の目的を持つこの大学プロジェクトは阻止しようと苦悩します。その神崎の行動を危険視した「内調」は彼を徹底的にマークし、圧力をかけます。

 内閣情報調査室官僚・杉原も葛藤していました。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会します。その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまいます。神崎の新聞社へのFAX送信は、権力の国民を騙し裏切る企みを告発するものですが、その代償は自ら命を絶つことでした。「内調」という権力の闇の存在が神崎の死に大きく関わっていました。自殺する前に神崎は電話で杉原に伝えます。「俺たち、一体何を守って来たんだろうな・・・・」

 ストーリーの背景には安倍のお友だちの加計学園の国家戦略特区認定の不正と、教育勅語を是とする国家主義森友学園への不正な国有地払い下げ、それに絡む公文書改ざんに反対した財務省職員の自殺があります。

ダグウェイ羊事件(Dugway sheep incident)あるいはスカルバレーの羊殺し(Skull Valley sheep kill)とは、1968年に起こった羊の大量死事件。当時、現場から程近いアメリカ陸軍の実験施設「ダグウェイ性能試験場」では化学兵器および生物兵器に関する実験が行われており、事件との関連が指摘されました。

  一方、主人公の新聞記者・吉岡は父親の自殺の真実を知るために父親と同じ新聞記者になります。父親は当時の首相に銀行が不正融資を行っていた事実をを暴いたのですが誤報とされ、自殺に追い込まれます。吉岡は父親は簡単に自殺する人じゃない、この死の裏には何か秘密があると思い、調べ始めます。調べる内に「内調」という政府組織の存在にたどり着きます。父親の死が「内調」と深く関係していると・・・。

 真実に迫ろうともがく若き新聞記者 。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。吉岡の父の死も内調絡み、神崎の死も内調の仕業。権力の執拗なまでの圧力が二人の自殺の全てですが、いま杉原も家族(妻と我が子の誕生)の幸福な生活と地位の保障の見返りに上司の多田に、政権の不正を暴くことを止めるよう脅されます。

 権力の「闇」はどこまでも深く淀み、楯突く者には容赦はしないという最後通牒に杉原は打ちのめされます。杉原は死を覚悟したかのように意識朦朧の中で歩き続けます。一方、吉岡は父を死に追いやったのが「内調」と知り、とっさに杉原の死を予感します。吉岡は永田町を目指します。吉岡は交通量の多い交差点の向こうに杉原の姿を見つけます。杉原も吉岡の存在に気付きます。杉原の声にならない口だけが同じ言葉を繰り返しています。自分は負けた(権力)、「ごめん」と言っているのか…。彼は交差点に身を投げて自殺するのか…。映画はここで終わります。

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 映画の中で「内調」の多田が言います。愚かなパンとサーカスの国民を見くびる台詞があります。民主主義など国民は分かりはしない。「この国の民主主義はカタチだけでいい」と。だから民主主義破壊者(憲法破壊者でもある)の安倍政権が今も続き、支持されて(その支持は消極的支持で変わらないないから、現状のままでいいという気持ちなのだろうか)いる理由がそこにあるのでしょうか。それでいいのでしょうか。

この国の民主主義はカタチだけでいい・・・・

 

 

 映画の中で、望月記者や前川元文部次官が実名で登場します。内調や安倍政権の露骨なメディアへの圧力が卑劣な方法で日常的に行われていることを、実体験に基づいて語っています。下記にリンクしておきます。3回に分けて動画があります。

 

www.huffingtonpost.jp

 映画の主題ではないのですが、げすな安倍の御用記者TBSの山口敬之のレイプ事件も描かれています。安倍政権の卑劣さを語る上では、メディア操作で女性を社会的制裁(彼女の不利になるように野党絡みのハニートラップ事件を捏造し、週刊誌にニセ情報をリーク、内調が関与か)で貶める見過ごせない事件です。事件の被害者・詩織さんが自らカメラの前に顔をさらして訴える覚悟は、この国のレイプ犯罪に対する後進性(刑法の性犯罪規定が著しく被害者に不利、セカンドレイプにあたる)があります。山口は語るに落ちる人物ですが、政権ベッタリの山口の犯罪・逮捕のもみ消しに権力側が手を貸しています。

現在、山口は詩織さんに対して名誉毀損などを理由に1億2000万円の反訴を提起しており、詩織さんに被害を訴え続けられ、ジャーナリストとしての社会的生命を断たれたことなどで1億円の営業損害を受けたと主張してます。注目すべきはテレビ番組出演などの営業収入1400万円ほどに加え、顧問料が2社で約750万円。そのうちの1社が、NKB(菅官房長官のお友達企業)の子会社ですが、2社の顧問料だけでサラリーマンの平均年収を凌駕するほどになっています。

内調のトップは警察官僚上がりの北村滋です。総理と一番頻繁に会っている人物と言われています。2012年の安倍政権以来その地位にあります。

絶大な権限を持つ内閣官房の官僚たち

 ホームページでは内閣官房は、内閣の補助機関であるとともに、内閣の首長たる内閣総理大臣を直接に補佐・支援する機関らしい。具体的には、内閣の庶務、内閣の重要政策の企画立案・総合調整、情報の収集調査などを担っていますと。これでは実態がわからない。畢竟、安倍政権に忖度し、従順に従うものにはアメを、異を唱えるものにはムチを。安倍首相の取り巻き官僚が菅官房長官のもと、日々、自身の保身のために蠢く組織というのが中身です。首相を支える官僚達の権限は絶大で、メディアを始め行政、教育などさまざまな分野に自由にものが言えない空気を作り出しています。映画の「内調」はその典型。でっち上げの情報を流されて、ネトウヨ自民党のネットサポーターの執拗な非難と中傷に晒されてしまいます。

 安倍政権は民主主義の選挙制度から生まれたファシズム政権です。選挙ごとに巧みな争点すり替えと大量の広告、メディアへの圧力で多数を獲得するやり方は、長期政権になってより露骨になっています。このまま安倍政権がカタチだけの民主主義を隠れ蓑に存続していいのでしょうか。投票にぜひ足を運んでください!

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●虹の会さんだニュースvol.23  vol.24(ダウンロードできます)

 参院選兵庫県三田市市長選挙が21日投票で行われます。ぜひ、投票しましょう。

 ◇安倍政権の6年半で日本の民主主義は見せかけだけのものに変質してしまいました。三権分立ではなく行政(官邸主導政治)が、立法(国会)も司法(裁判所・警察)も圧力をかけ官邸の指示に従わせる政治になっています。当然ながらメディアへも圧力がかかり、権力側に不利な情報に接する機会を奪われ、国民は安倍政権の暴走政治にもかかわらず半数近くが支持を与えています。事実を知りましょう、これまで安倍政権がやってきた民主主義破壊の事実を。

 安倍政権の目指すものは、憲法改正国民主権ではなく、安倍主権つまり権力に従わせることです。そのために戦争ができる自衛隊がまず必要なのです。血を流すのは安倍では無く、若い自衛隊員です。本当に自由や権利が奪われる社会でいいのですか。

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 ◇三田市市長選挙の争点は1つです。三田市民病院の存続か統廃合かです。市民の命を守る拠点を現・森市長は「赤字」という採算性のみで統廃合を進めようとしています。公立病院を採算性の視点のみで、その存続を議論するのは暴論です。赤字だからという森市長の統廃合論はすでに根拠を失っています。市民病院は黒字です、頑張っています。要は国や県の方針に沿った医療費削減にのっかているだけで、市民の声など眼中になく森市長に追随しています。自治のあり得べき姿は三田市民のことを第一に考える姿勢です。

 一方、長谷川よしき候補の主張は明白です。市民のための市民病院の存続。公立病院の経営形態で市民病院を守る立場です。少子高齢化は避けられない中で、拠点病院をなくし、済生会兵庫病院と統合することはその流れに逆行するものです。安倍政治の国民の意思に反した政策が、この三田市でも行われてようとしています。三田市のことは三田市民で決める。国や県の住民無視の政策には手を貸さない。きっぱりと統廃合反対の意思を示しましょう。

 以下に森市長が子ども医療費無料で受診する市民にむかって「モラルハザード」と明らかに批難する内容の記事があります。無料の有償化での予算の削減率を自慢していますが、森市長の考えは一貫して、ムダに医者にかかっているというもので一方的です。早めに受診すれば疾病も予防でき、リスクも減る。所得制限をすればプライバシーを明かすことになり受診することを控えることもある。だから一律の意味がある。少子化の中で子育ては三田市の重要施策のはずです。市長の考えは本音のところで真逆です。これでは安心の子育て、ひいては市民の命もチープな引き算で市民病院存続が判断されることになります。どの地域、どの年代も漏れることなく、地域全体に医療のセーフティネットを構築すべきです。少子高齢化は待ったなしです。みなさんどう思われますか。

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米国に媚び、日本国民を愚弄する安倍政権

野党統一候補、全国32の1人区すべてで実現

 来る参議院選挙での野党5党派(立憲民主党、国民民主党日本共産党社民党衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」)による全国32の1人区で、野党統一候補が実現しました。さらに市民連合との「共通政策」でも合意が実現し、打倒安倍政権の態勢が整いました。「共通政策」では安保法制の廃止、立憲主義の回復に加えて、安倍9条改憲・発議の阻止、沖縄辺野古米軍新基地建設の中止と普天間基地の早期返還、いまの状況下の原発再稼働は認めず原発ゼロをめざすこと、消費税10%の中止と税制の公平化などの一致点が野党と市民連合の間で確認され調印されました。憲法、沖縄、原発、消費税という根幹で野党間の足並みが揃ったことで、有権者に野党の結束を政策面でも強くアピールできるものとなりました。

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希望が持てる市民連合と野党との「共通政策」

  今回の参議院選挙では、有権者に野党が一致した「共通政策」を提示することに大きな意味があります。野党候補者の一本化は当然ですが、政権与党側が常に野党を非難する「選挙対策目当て」についても合意した「共通政策」があることは大きな強みです。腐敗した安倍政治に不満や危機感を持ちながら、政治に諦めを抱いた有権者にもう一度振り向いてもらうには、13の「共通政策」は希望の持てる内容です。が、有権者、国民にとって重要なニュースであるにも関わらず既存メディアでは全く報道されません。明らかに政権に忖度しているか、メディアの怠慢としか思えません。国民は知る権利を取り上げられています。

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1 憲法改正の阻止
安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲 発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。

2 安保法制、共謀罪など廃止
安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。

3 防衛予算の削減
膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。

 4 辺野古工事の中止
沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。

5 北朝鮮問題の解決
東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止向けた対話を再開すること。

6 原発ゼロ社会
福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。

7 統計データを徹底検証
毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。

8 消費税引き上げ中止
2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。

9 教育費の充実
この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。

10 最低賃金1500円
地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせ る働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。また、これから家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。

11 LGBTなど多様性推進
LGBTGsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)を実現すること。

12 森友加計問題の究明
森友学園加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。

13 国民の知る権利向上
国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。

逃げる安倍首相!審議拒否、開かれない予算委員会

 安倍政権のデタラメはさらにエスカレートしてきています。予算委員会衆院で3月1日を参院で3月27日を最後にいずれも全く開かれていません。参院選を前にして野党からいろいろ追及されたくない政権与党が予算委審議を拒否しているのは明らかです。こんな横暴は民主主義の危機として各メディアがもっと大きく報じるべきですが、その反応は鈍く、それを知らされない国民の政治的無関心は令和フィーバーで政権支持率があがるという深刻さも露呈しています。

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 この間、安倍首相や政府の姿勢を追及すべき大問題が次々と起こっています。消費税率10%への引き上げ問題と景気動向が6年2ヶ月ぶりに「悪化」と判断されたことで増税の根拠が崩れていること。来日したトランプ米大統領の日米貿易交渉の「8月合意」発言の問題、護衛艦「かが」の視察時に、空母化により「離れた領域」の脅威から守るのに役立つという発言もしっかり国民に説明すべき重要課題です。
 特にトランプ米大統領が5月26日午後、安倍晋三首相と千葉県茂原市のゴルフ場で昼食をとった後、ツイッター「日本との貿易交渉で大きな進展があった。農産品と牛肉は大変な影響がある。7月の(参院)選挙の後、大きな数字を期待している」と投稿したことに対する説明が是非とも必要です。政府がこれまで否定してきたTPP以上の関税引き下げを承諾したのではないか。もし事実なら日本の農業は大打撃を受けます。
 28日の護衛艦「かが」視察でトランプ米大統領が「この地域と、より離れた領域で、複雑で広範な脅威からわれわれを守るのに役立つ」と述べています。政府の「政府は、戦闘機を搭載可能にする改修はあくまで日本防衛のためであり、『攻撃型空母』への改修ではない」という答弁と食い違ってきます。真実は地球規模での日米一体化での軍事行動を意味するもので、「専守防衛」を逸脱した護衛艦『空母』化は明白な憲法違反です。
 さらに5月23日の朝日の記事にビックリ。年金不足に備えて2000万円貯めろの金融庁の呆れるニュース。金融庁の金融審議会は6月3日、長寿化による「人生100年時代」に備え、計画的な資産形成を促す報告書を発表。年金だけでは老後の資金を賄えず、95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要になると試算。現役期とリタイア前後、高齢期といった人生の段階別に資産運用、管理の心構えを説いていますが、要は自己責任で何とかしろということで信じがたい内容です。しかも公的年金の将来的な支給水準の見通しを示す5年に1度の年金財政の検証(通常は5〜6月)について、政府・与党内からは参議院選挙を前に結果を公表すれば争点化するとして、公表は選挙のあとに先送りしようとしています。

 一時が万事この調子!安倍政権とは米国には何でも言うことを聞くポチで、自国の国民にはウソとごまかしで愚弄するという歪んだ精神構造の持ち主が、権力を握り続けているという異常政権です。安倍政権は終わりにするしかありません。

パンとサーカスに喜ぶ国民と愚弄されていいのか

 ここまできたかかの感がある反知性の劣化した安倍政治。6月8日に週刊誌「女性自身」がWEBに、国会サボってこの吉本芸人との面談の安倍首相の批判記事を書いていますのでご紹介しておきます。余りに低級な日本の最高権力者・安倍動画もリンクしておきます。

 6月6日、吉本興業所属の芸人らが首相官邸を表敬訪問した。安倍晋三首相(64)が今年4月に吉本新喜劇へサプライズ出演したことへの“お礼”として実現した今回の訪問。各メディアによるとすっちー(47)をはじめ、吉田裕(40)や池乃めだか(75)といった吉本芸人たちが持ちネタをいくつも披露。芸人たちに負けじと安倍首相も「この前、松竹新喜劇に出させていただいて……」などとジョークを飛ばすなど、官邸は始終和やかなムードだったという。

 しかし、一部からは「そんなことをしている場合なのか?」といった声があがっている。というのも与党は現在、100日あまりも予算委員会の集中審議を拒み続けているのだ。集中審議とは国政で問題になっているテーマについて質疑を行うというもの。それを100日あまり拒否しながらも、官邸では芸人を歓迎した安倍首相の姿勢に批判が集まっている。

 立憲民主党蓮舫議員(51)はTwitterで《もう何をしてもいい。 誰に会おうと、解散風をもてあそぼうとも、安倍総理らしいとしか見えない。 が、なぜ、予算委員会を開かないのか。 なぜ、国会には出席したくないのか》と怒りをあらわにしていた。ネット上でも批判の声が噴出している。

 《これもう、スキャンダルの類じゃなかろうか。衆参両院の予算委員会審議拒否している自民党総裁が公邸でお笑い芸を楽しんでいるんだよ》
《お笑い芸人呼んで楽しむ暇があるなら、国会に出てこい 予算委員会の審議拒否3ヶ月って、それでも行政府の長かよ 公文書改ざん、国の経済の根幹に関わる統計データ不正、恥を知れ》
予算委員会で議論する暇はないが、吉本の芸人と戯れる暇はあるという安倍首相。ふざけるな。国会を、国民を愚弄するにもほどがある》

 立憲民主党逢坂誠二議員(60)は5日、Twitterで与党とのやりとりを明かしている。与党側から審議を拒否する理由について《一般の委員会で質問できるているから十分。予算委の必要はない》と返答があったという。

国民の怒りは笑えないところまできているーー。

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 ●虹の会さんだ5月ニュース 

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安倍政権とは何者か

 こんな酷い安倍政権がなぜ倒れないのだろう?どうしてそこそこの高い支持率が出るのだろ?そんな疑問に答えてくれそうな一冊の本を見つけました。以下の文章はこの本の抜粋です。

●本のタイトル

《「社会を変えよう」といわれたら》

●著者

木下ちがや 

●出版社 

大月書店

 

 

 

 

 

 

引き裂かれていく二つの顔

 「安倍政権はこんなに酷いことをやっているのに、どうして倒れないんだろう」。この疑問は誰しも一度ならず頭をよぎったことでしょう。

 安倍政権が沖縄の辺野古新基地建設を強行したとき、森友・加計疑惑で安倍首相の関与の疑いが国会で追及されたとき、官僚のスキャンダルや暴言が相次いだとき、私たちが見聞きしたことのないような醜悪な事態を目の当たりにしたときのこの「なぜ?」という問いは、市民、マスコミ、官僚、与党にも同じような疑問が浮かんでいました。

 誰がみても安倍首相は嘘をついている。どの世論調査も森友・加計スキャンダルに対する安倍首相の対応はおかしいと思う人は7割から8割いる。昼のワイドショーに出演する御用コメンテーターすらかばいきれない。

 みんなおかしいと思っている。でも安倍政権は倒れない。なぜかという問いは、安倍政権を支持するしないにかかわらず多くの人が今も抱いています。

 この「酷いのに倒れない」という問いに対して、6年以上にわたる安倍政権を振り返り観察することで浮かんでくる答えはたったひとつ。「酷いから倒れない」あるいは「酷くなればなるほど倒れない」というものです。

 安倍政権以前には「政権というものは2年程度で変わるもの」という日本政治の「常識」がありました。自民党の新陳代謝のメカニズム(政権を短期間で切り替えて人事を刷新することで、幅広くポストを割り振り、党の新陳代謝を促していく)で、「酷い政権は倒れるものだ」ということで、この「常識」は機能していました。まさに第2次安倍政権はこの「常識」を覆すことを使命に登場しました。この政権の6年余りはその支配の「非常識さ」と国民的な「常識」がぶつかり合うことで生じた、安倍政権の分裂した姿を見て行きましょう。

退位の式典で「願って已みません」が読めなくて「願っていません」と読むこの国の最高権力者、安倍晋三。因みにこの権力者は事前の挨拶文に目を通すことすらしていないなのだろう。ついでに余計な事かも知れないが、読み方ひとつにしてもまるで知性を感じない。総理候補は血統が支配する自民党のお粗末は、極まっている感がします。既にこの動画は官邸の動画からは削除されています。

 カナダのトルドー首相に日本をチャイナと間違えられて(しかも二度も)、訳もわからず握手を求める安倍晋三

▶与党議員の支配と不支持

 安倍政権ほど、与党の自民党公明党の議員を徹底的に支配した政権はありません。安倍政権下では、国会の議事運営スケジュールは官邸が決定し、一方的な指揮・命令で議会を動かすという手法が常態化しました。このような手法に異議を唱える自民党議員には徹底した圧力が加えられ、服従させるのが安倍政権のやり口です。

 公明党も安倍政権に完全に屈服しています。公明党教育基本法改正から始まり、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の成立に次々と賛成していきます。20年間近く連立を組み、小選挙区自民党を応援し、比例区で自民票をもらう構図では、もはや「非常識」な政権であろうと離脱する選択肢はありません。

 しかし、安倍政権の圧力支配の一方で、自民党員や公明党創価学会員に支持されていないというのも事実です。2018年の総裁選で石破氏に地方票の45%を獲得されています。「選挙で勝ってるからまあいい」という消極的な支持が、安倍政権を支えています。

▶若者の高支持率と低投票率

 「若者の保守化」は本当か。安倍政権ほど、「若者の自民党支持が高い」という主張が2017年の総選挙以降幅を利かせています。この主張の欺瞞性を政治学者の菅原琢氏が2017年の総選挙の出口調査から明らかにしています。つまり20代、30代の投票率は極めて低い中で、自民党に投票した若者が相対的に多いだけのことで、投票にいかない若者層を含めた場合、むしろどの世代よりも自民党支持が低い結果になっています。

▶支持率安定と抗議活動の活性化

 安倍政権は長期にわたり4割以上の支持率を維持しています。しかし、この政権ほど市民の直接的な抗議にさらされて続けていることも事実です。安保法制、特定秘密保護法共謀罪など「悪法」が登場するたびに官邸前や国会前は数万の市民が結集し、抗議の声を上げ続けています。さらにリベラルなメディア(既存の大手メディアではない有料動画配信や寄付で運営する独立系メディア)はこうした市民の抗議の積極的に報じ、街頭行動とSNS、メディアがスクラムを組んで世論にアピールするという、かつてない運動シーンが生まれています。

 片や街頭行動とSNS、リベラルメディアのスクラムに追い詰められた安倍首相は、政権支持の極右メディアにのみに登場で、国民に呼びかけるをほとんどしていません。世論の反発を恐れる所以と自身の対話能力の欠如で、今や引きこもり状態です。

憲法改正の悲願と改憲反対の世論

 安倍政権ほど憲法改正を正面から掲げた政権はありませんでした。しかし、安倍首相が誤魔化しの改憲を叫べば叫ぶほど国民的関心は低下し、逆に改憲反対の世論が大きく広がる結果となっています。

 2017年5月3日の憲法記念日に安倍首相は読売新聞と日本会議の集会で「2020年のオリンピックにあわせて憲法9条に自衛隊を明記する」と驚きの発表をしました。しかし世論は「今の憲法を評価する」が大勢を占め、「憲法9条を守ったほうがいい」は近年では最高値の世論調査結果が出ています。ついでに朝日新聞2018年5月2日の世論調査では「安倍政権のもとで憲法改正を実現すること」に「反対」58%、「賛成」は30%。「自衛隊の存在を明記する憲法改正案」に対しては「反対」53%、「賛成」は39%。安倍改憲はウソで改憲目的を誤魔化し、それが危険である事を国民は肌身で感じており、護憲の意識は深く国民の精神に根付いています。

よくできた動画です。一見の価値ありです。

「非常識」な支配

 安倍政権は、与党を厳格に従属させ、異端者を徹底的に監視・排除し、「代わりがいない」「変わらない」姿を見せつけることで安定的な支配を確立するという、戦後政治の「常識」から外れた統治」手法を用いています。どんな酷い大臣のスキャンダルでも辞任させない。麻生、菅、二階といった幹部の人事は一切動かさない。どんなに批判がある法案の審議でも会期延長は許さない。安倍の後継者は育てない。このように「代わりがいない」「変わらない」という「負のイメージ」を徹底して国民に示すことで無関心と無力感を蔓延させ、対立軸を隠蔽し、各種選挙での投票率を引き下げながら組織票で勝利し、政権を維持しています。

 このような統治手法は大きな代償を伴うことになります。与党は新陳代謝ができず、活力を失います。官邸にいいなりの議員と党員の隔たりは酷くなり、「ポスト安倍」を生み出す力は失われます。かくして「酷いから倒れない」という体制が強化されるという具合です。二階がいみじくも言った安倍の四選の可能性、「余人をもって代えがたい」はまさにこの負のスパイラルが強烈に組織内で働いていることを示すものです。 

「政治改革」がもたらした支配の条件

  今わたしたちが目の当たりにしているのは、安倍政権による民主主義の瓦解していく有様です。1996年から導入された小選挙区制は、比較第一党(現状は自民党)に4割程度の得票で6割以上の議席を与えるという欠陥があり、1人区でその弊害は顕著です。選挙区候補も公認権と選挙資金が党執行部が握ることになり、党内から総理を目指す本来の競争が困難になり、「血統」で党内の序列が決められるようになりました。その結果、2000年代に入り森内閣以降の自民党の総理大臣ならびにその候補は全員「政治家二世あるいは三世」ということになっています。政治家個人のキャリアや能力は重要視されず、「中央集権的な血統支配の政党」に変質してしまっています。

 この安倍自民党の中央集権化の行くつく先は、「官邸主導体制」の確立でした。官邸が全てを決定するということは、政権交代(与党内および野党による)を封じ込め、自民党政権を永続化させることが目的でした。さらに第二次安倍政権では「内閣人事局」が設定され、官邸が官僚の人事をも一手に握る体制も確立しました。

安倍政権の疑惑やスキャンダルの特異性

 ご存知の小学校建設をめぐり極右活動家への破格の安値での国有地払い下げの「森友疑惑」。獣医学部新設を巡る国家戦略特区認定での土地や補助金の便宜供与が行われた「加計学園疑惑」。この疑惑の特異性はズバリ首相と妻の思想と友人関係から発生したもので、私服を肥やす金権がらみではないところにあります。事件の経緯を見れば明らかに首相は嘘をついている事が濃厚ですが、退陣する事態にはなってない。何故なら先程来述べてきたように確立した安倍政権の支配のもとで、首相を守るために政官あげて「忖度」が行われ、嘘がバレることを阻止しました。「忖度」とはまさに、人事の生殺与奪権を握る首相官邸に「誰が一番忠誠を尽くしているか」を競うもので、政治の劣化振りを示す最たるものです。

 ここで特記して置かなければならないのは、政権は安倍シンパといわれる官僚を首相秘書官に据え、絶大な権力を行使させていることです。安倍政権は「経産省内閣」と言われますが、その経産省出身の今井尚哉(たかや)内閣総理大臣秘書官が、北方領土をめぐるロシア外交、対中国外交、消費税増税で本来の官庁から主導権を奪いとる事態にまでになっています。

憲法ファシズム条項が危機にさらされている

 非常識な支配を徹底する安倍政権下では各官庁からの内部告発や情報リークが相次いでいます。これは各官庁からの反発ですが、個人の地位をかけたそれらの行為は自ずと限界がありますし、安倍政権は明らかに開き直っています。しかし、もっと根っこの所で危険な憲法を実質無力化する政治状況が作り出されていることを、私たちは知らなければなりません。

 宮内庁(第1章・象徴天皇制)、防衛省(第9条・戦争放棄)、文科省(26条・教育の機会均等)からの告発は俯瞰して見ると憲法ファシズム条項が危機に晒されていること意味します。つまり、天皇を政治権力から排除し、軍備を排し、教育勅語を否定するという、天皇軍国主義を封印するという目的において体系的なものです。戦後日本はこの目的に沿って、文科省教育基本法にもとづき、防衛省自衛隊専守防衛にもとづき、退位された明仁天皇象徴天皇制にもとづく天皇像の確立に努めました。

 大事なことは憲法9条だけではなく、安倍政権では明文改憲によらない憲法の「原点と目的」の切り崩しが進行しているということです。

アベノミクス」という支配の技法

 夏の参院選(衆参同一かも)では、安倍首相の口から何度となく発せられるであろう、念仏化した「アベノミクス」。アベノミクスは統計不正で失敗である事が既に明らかになっています。が、多くの国民は中身も検証される事無く、大手メディアが垂れ流す「アベノミクス」情報に踊らされています。アベノミクスは経済政策ではなく、国民を騙し、批判をそらし政権維持のための支配の道具でしかありません。

 「アベノミクス」は今の経済構造がもたらす危機を、金融緩和と財政出動により当座回避するものです。悪い冗談としか言いようがありませんが、安倍首相は「雇用が安定し、生活が向上している」とその成果を強調します。その根拠を失業率の低さと、有効求人倍率の高さが証明していると言います。その内実は民間サービス部門における非正規の増大に過ぎません。バブル期以来の株高も、日銀や年金という政府資金を投入して株価を高く維持しているだけです。さらにアベノミクスの失敗を誤魔化すために統計不正も行っており、勤労統計不正やGDPのかさ上げなど政府統計の信頼性は完全に失墜しています。

 安倍政権の支配を三つの支配に分けて考察すると、そのデタラメさが鮮明になります。まず「時間の支配」で、未来に危機を先送りすることで、今の政権を維持することに全力をそそぐといくものです。経済成長と特に分配を適切に行うことで計画的に危機を解消しようとする姿勢が見えません。次に「資源の支配」で、予算配分で社会保障費や教育費を抑制し、公共事業や民間投資に集中させ、財界・業界の支持を得て政権を安定させることに使うということです。最後が「空間の支配」で、労働法制改革(働かせ放題)をはじめとする業界寄りの規制緩和とTPP推進でグローバル企業優先の政策実行です。

 安倍政権の政策は外交でも破綻を来しています。トランプ政権に擦り寄る高額米国兵器の爆買いやロシアとの北方領土交渉では四島一括から突然二島返還を言い出しますが、軸の定まらない姿勢を見透かされて、領土が全く返還されない可能制も出てきました。朝鮮半島の和平プロセスからは完全に疎外され、拉致問題解決も全く進んでいません。

 メディアも忖度に汚染されています。しかし市民の安倍晋三改憲はさせないといううねりは確実に大きくなっています。

「新しい政治」をつくるには

 最後に大事なことなので繰り返します。2011年の東日本大震災は「複合震災」がもたらす危機をつきつけ、福島原発事故は日本という国を存亡の危機に直面させました。人口減少、地域コミュニティの衰退と、押し寄せる危機は枚挙にいとまがありません。しかも政治はそれに向き合ってはきませんでした。

 それどころかこの6年にわたる第二次安倍政権は、「戦後民主主義」という国民的な価値観を本格的な危機に陥れています。安倍政権は、このように増殖する危機を解決するどころか、80年代のバブル時代を思わせるような「アベノミクス」、高度経済成長期の上面だけの焼き直しにすぎない「成長戦略」、そして「東京五輪」「大阪万博」と、まるで「平成の次代には繁栄の昭和が来る」かのような幻想を振りまくことで当座をしのごうとしているのです。

 この国の増殖する危機に対して、平成の時代が終わりに近づけば近づくほど地域や街頭や、SNS上で声をあげ、行動する人々が増え、今日までその運動は継続しています。それは原発に対して、改憲に対して、TPPに対して、レイシズムに対して、米軍基地に対してと、実にさまざまな課題に及びます。3.11以後に台頭した社会運動の使命は、これらの危機を主体的に克服していこうとするもので、日本社会の危機を乗り越え、変化に対応する「新しい政治」をつくりあげることにありました。それは安倍政権に対決するだけでなく、いま日本が抱える問題や危機を先送りさせず、「いま、ここで」その解決を迫るというものでした。

 社会運動が掲げる課題はさまざまにありますが、その基調にあるものは「公正で差別のない社会をつくること、アジアと世界の人々の友好を図ること」であり、そこに結集する人々の「つながり」や「姿」は、未来のあるべき日本の社会の姿を映し出しています。

 安倍政権の立ち位置は明白です。理不尽な支配の論理で、国民に抗う事を諦めさせ、無関心を助長させ政権を維持するその手法に、正義はありません。政治の私物化が一層進む現状に対し、政治を国民の手に取り戻すためには、目前の参院選は重要です。時代を巻き戻し、国民を国家の統制・支配のもとに置こうとする民主主義、立憲主義の破壊者に、これ以上政権の座に居座らせてはなりません。

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アベノミクスって何だ!?

 安倍首相が自慢げに繰り返すアベノミクスの成功。しかし、安倍首相がデフレ脱却を唱えて、今年で7年目。実感としての景気回復などほど遠い。日経の世論調査でも、政府が「戦後最長になった可能性がある」と指摘している現在の景気回復について、78%が「実感していない」と答えています。「実感している」の16%を大きく上回っており、内閣支持層や自民党支持層でも「実感していない」は7割に達し、内閣不支持層では「実感していない」は91%に達しています。

アベノミクスによろしく』明石順平氏「別人の身長を比較して、身長が伸びたと言っているようなもの」~ 2019.1.22の賃金偽装問題・野党合同ヒアリング「毎月勤労統計」の調査が不適切だった問題ついて。明石氏のコメントは4分過ぎからあります。

 今回は厚労省の毎月勤労統計不正で、国会でその事実をデータを持って明らかにした弁護士・明石順平氏の論※を借りて、アベノミクスの失敗を見ていきます。明石氏は弁護士で主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人。※著書「アベノミクスによろしく」及びブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」を参考。

 今日までそのまともな検証されずアベノミクスは、安倍政権とメディアが一体となって、政府に都合のいい情報が流された感が多分にあります。しかし、明石氏はブログで数年前からアベノミクスがまるで成果をあげていないことを指摘しています。先述したように明石氏は「経済の素人」を自任しています。

 その明石氏がアベノミクスのカラクリを彼なりに分析してみた結果、経済学者の説明を待つまでもなく、これがまったくもって無理筋な政策であることがすぐに理解できたといいます。なぜ日本人の多くがこんなデタラメな政策に、いとも簡単に騙されてしまったのかと驚いたと、明石氏は語ります。

アベノミクスで実質賃金が下がり続ける

 アベノミクスとは①大胆な金融緩和、②機動的な公共投資、③構造改革の3本の柱からなる安倍政権の金看板といってもいい経済政策だが、その最大の特徴は①の金融政策ににあります。景気が良くなると物価が上がるという理論に基づき、人為的に物価をあげれば景気がよくなるという仮説を立てた上で、大胆な金融緩和によって円安を引き起こすことで物価上昇を実現すれば、経済成長が実現できるとするリフレ派の経済理論に基づいています。

 安倍政権と日銀が目指した前年比2%の物価上昇は6年経った今も実現しなかったが、とはいえ実際には物価は確実に上昇してきた。例えば2013年から3年間だけでも物価は4.8%上昇し、そのうち2%分は消費税増税に起因するもの、2.8%は円安に起因するものだったといいます。(2014年、消費税5%→8%増税

 しかし、その間、景気は一向によくならず、GDPの6割を占める消費が、まったく上向かず、その理由は根本の賃金が上がらないから当然です。

 アベノミクスのデタラメさは、名目賃金から物価上昇分を割り引いた実質賃金が、安倍政権発足後コンスタントに下がっていることにさえ気づけば、誰にもわかることだった。「なぜ誰もそれを指摘しなかったのか不思議でならない」と明石氏は言います。

 実際、実質賃金が下がり続けた結果、経済の大黒柱である民間の消費支出も下がり続けた。その間、支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は上昇の一途を辿りました。アベノミクスによって国民生活は苦しくなる一方だったことが、難しい計算などしなくても、ネット上から入手が可能な公表データだけで簡単に説明がつきました。

ここまでやる安倍政権のGDPの異常な伸び突出

 しかも、アベノミクスには、最近になって露呈した統計偽装を彷彿とさせる巧妙なカラクリが、いくつも仕込まれていたと明石氏は言う。

 例えば、政府統計では安倍政権発足後、日本のGDPは着実に上昇していることになっています。しかし、実際は2016年末に政府は、「国際基準に準拠する」という理由でGDPの算定方法を変更し、その際に過去のGDPを1994年まで遡って計算し直していました。その結果、どういうわけか安倍政権発足後のGDP値だけが大きく上方修正されるという不可解な修正が行われていたといいます。

 もともと「2008SNA」というGDPを算出する国際的な新基準は、これまでGDPに算入されていなかった研究開発費をGDPに含めるというもので、結果的に各年度のGDP値は概ね20兆円ほど上昇する効果を持つ。しかし、2016年に安倍政権が行った再計算では、これとは別に「その他」という項目が新たに加えられており、「その他」だけで安倍政権発足後、毎年5~6兆円のGDPが「かさ上げ」されていたと明石氏は指摘します。しかも、出版社を通じて「その他」の内訳の公表を内閣府に求めたところ、「様々な項目があり、内訳はない」という回答があったといいます。「その他」項目では、安倍政権発足前が毎年3~4兆円程度下方修正され、安倍政権発足後は毎年5~6兆円上方修正されていたことから、安倍政権発足以降のGDPのかさ上げ額は平均で10兆円にものぼると明石氏は指摘します。

日銀ETF買い入れ、GPIF年金投入で株価操作

 もう一つの重要なカラクリは、アベノミクスが株価と為替レートについて、「恐らく意図的に」(明石氏)、見栄えを良くする施策を実施してきたことだ。経済は複雑で多くの国民が日々、経済ニュースを追いかけているわけではないが、どういうわけか円・ドルの為替レートと日経平均株価だけは、NHKの5分ニュースでも毎日必ずといっていいほど、しかも一日に何度も報じられる。多くの国民がこの2つの指標を、世の中の景気を推し量る目安にするのも無理からぬことだと言います。

 ところが安倍政権の下では、この2つの指標が公的な強い力によって買い支えられ、つり上げられてきました。日銀はETF(指数連動型上場投資信託受益権)の買い入れ額を大幅に増やしてきました。さらに、年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は国内株式への投資割合を安倍政権発足後、倍以上に増額しています。要は日銀や政府の公的機関が、数兆円単位で東京市場の株価を買い支えてきたということです。

 先述の通り、為替については、かつて見たこともないような大規模な金融緩和による円安誘導が続いています。

 日々のニュースで、為替は1ドル110円以上の円安が、日経平均は史上最高値の更新が続いていることを日常的に聞かされ続けています。明石氏はそこに、一般国民にわかりやすい経済指標、つまり円・ドル為替と株価だけはしっかりと手当をする安倍政権の政治的意図があったのではないかと推察せざるを得ません。

アベノミクスのデマと安倍政権で進む民主主義破壊

 実際、2012年12月の選挙でアベノミクスを旗印に選挙に勝利して政権を奪還した安倍政権は、それ以来6回の国政選挙のすべてで、「アベノミクスの信を問う」ことで、ことごとく勝利を収めてきました。そしてその間、安倍政権は特定秘密保護法や安保法制、共謀罪等々、過去のどの政権も成し遂げられなかった政策(個人の自由や集団的自衛権容認)をことごとく実現してきました。しかし、実際の選挙ではそうした重要な社会政策は常にアベノミクスの後ろに隠されてきました。過去6年にわたり日本の政治はアベノミクスという呪文に騙されてきた結果が、戦後の日本のあり方を根幹から変える一連の重要な政策という形でわれわれに跳ね返ってきています。

 また、無理筋な経済政策で幻想を振りまいてきたアベノミクスの副作用や後遺症も、次第に深刻の度合いを増しています。そろそろわれわれも目を覚まさないと、未来に大きな禍根を残すことになりかねないのではないでしょうか。(文章元:マル激トーク・オン・ディマンド 第937回の紹介記事

 先に結論を述べました。アベノミクスの実態を知ることで、安倍政権の欺瞞体質が一目瞭然でわかります。消費増税原発再稼働、米国従属外交、沖縄基地加重負担・辺野古新基地建設、9条改憲と海外で戦争ができる自衛隊への変質。どれひとつとっても国民には不利益で不要なものばかり。国民が求める政策は、社会保障、雇用景気対策子育て支援、中等・高等教育無償化など切実で生活に直結するものばかりです。社会の基盤を支える政策は後回しにされています。

 目の前で繰り替えされる沖縄の切実な民意の無視、国会軽視の強権的な政治運営は、立憲主義、民主主義の破壊そのものです。さらに無理筋のアベノミクスによる日銀の異次元の金融緩和の長期化で、何かのきっかけで円・株価暴落、国債暴落……近い将来のパニックの恐れも高い確率で危惧されます。繰り返しになりますが、そのツケは国民生活に跳ね返ってきています。

 以下は明石氏の論と客観的データに依りながら、アベノミクスのウソで塗り固められた実態を暴いて行きます。しかも皮肉にもそのウソが、政府発表のデータで裏付けられというものです。政府が統計データ不正を行うことは、真実が国民に全く知らされないという危険な社会の招来を許すことになります。

 アベノミクスのウソ:物価の伸びが実質賃金を上回る

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データ元:総務省統計局、厚労省毎月勤労統計調査

 増税アベノミクスで無理やり物価を上げる一方、賃金の伸びがそれに全然追いついていない。実質賃金は大きく落ち込んでいる。2014年に物価が大きく上がったのは、消費税の増税に円安が加わったから。2015年までの間に、物価は4.8ポイント上昇。日銀の試算によると3%の増税による物価押上げ効果は2%と言われおり、4.8ポイントのうち、2.8ポイントは増税以外の要因と考えられ、それは円安以外に考えられない。円安は輸入物価の上昇をもたらすので、物価を押し上げる。アベノミクス前は1ドル80円程度だったものが、2015年に120円を超すレベルに。その後、2016年にいったん円高になったので,2016年は前年に比べ物価が0.1ポイント落ちています。そして、2017年からまた上昇に。これは,また円安になったことに加え、原油高が影響。原油は燃料だけでなく様々な商品の原材料になるので、その動向は物価に大きく影響する。 

 日銀がいつまでも物価目標を達成できないので,多くの人が「物価が上がっていない」と勘違いしている。日銀の目標は「前年比2%の物価上昇」つまり毎年2%ずつ物価を上げていくこと。アベノミクス開始時点から2%」ではない。しかも、この物価目標は増税の影響を除くとされている。

 アベノミクス開始時から,増税の影響も含めると,2018年の時点で6.6%も物価は上がっている。その間、名目賃金は2018年時点でアベノミクス開始前と比較して2.8%しか上がっていない。増税アベノミクス(円安)で無理やり物価を上げる一方、賃金上昇がそれに全然追い付かないのが実態だ。

アベノミクスのウソ:急上昇するエンゲル係数、家計は苦しい

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データ元:総務省統計局

 この急激な物価上昇がエンゲル係数(家族の総支出のうち、食物のための支出が占める割合。係数が高いほど生活水準は低い)の急上昇にもつながっている。食料価格指数はアベノミクス前と比べると2018年の時点で10.3ポイントも上がっている。増税が全て食料価格に転化されて3ポイント寄与したとしても、7.3ポイントの上昇の最も大きな要因は円安によるもの。増税と円安の影響で食料価格が上昇した一方で,賃金が上がらないため,エンゲル係数が急上昇したのである。

アベノミクスのウソ:国内消費停滞、一方でGDPかさ上げ疑惑

f:id:rainbowsanda170422:20190326212703j:plainデータ元:内閣府

 増税アベノミクスによる円安誘導は物価上昇と、実質賃金の低下をもたらした。これにより日本のGDPの約6割を占める実質民間最終消費支出(国内消費の合計)が、これまでにない停滞を引き起こしている。見てのとおり、2014年~2016年にかけて、3年連続で落ちている。これは戦後初の現象。2017年はプラスに転じたが、4年も前の2013年より下。この「4年前より下回る」という現象も戦後初。2009年のリーマンショックで実質民間最終消費支出は大きく落ち込んだが、基本的に右肩上がり。

 増税アベノミクスで戦後最悪の消費停滞が生じているのだ。実質賃金、実質可処分所得、実質実収入が減り、その影響で実質消費は停滞し、アベノミクス前より上がったのはエンゲル係数。国民アベノミクス前より確実に苦しい生活を強いられている。安倍首相は悪夢の民主党時代(この表現自体も首相の無知と突如興奮するエキセントリックな人格がなせるものだが)とか言ったそうだが,悪夢は今。

  これほど国内消費が停滞しているのだから,名目賃金が伸びないのも当たり前。国内消費に頼る企業は儲かっていないのだから。円安による為替効果で輸出大企業は儲かるだろうが,それ以外の企業は特に恩恵を受けない。むしろ原材料費の高騰などで、相当苦しい状況に立たされている企業は多いだろう。さらに、この数字ですら思いっきりかさ上げされた結果なのである。

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データ元:内閣府

  2016年12月にGDPは改定されたが,改訂前後の名目民間最終消費支出の差額を示したのが上記のグラフ。いくら新基準になったとは言え、アベノミクス以降が突出している。これまでの検証で国民の所得は伸びていない。だったらGDPアベノミクスで急に増えるはずがない。特に2015年が異常。8.2兆円ものかさ上げ。

 なお、名目民間最終消費支出におけるかさ上げは,国際的GDP算出基準(2008SNA)とは全く関係ない「その他」という部分でなされているアベノミクス以降は大きくかさ上げしているのに、なぜか90年代は全部マイナス。この「その他」によるかさ上げ・かさ下げ現象を明石氏は「ソノタノミクス」と呼んでいる。

アベノミクスのウソ:医療・福祉雇用増で総雇用者所得が増えただけ

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データ元:総務省統計局
 国会で安倍首相が吹聴している総雇用者所得は増えているいうウソについても触れて置かなければならない。何せ官僚からレクチャーされた「アベノミクス成果」に飛びついて、何の疑いもなく自慢したいキャラには閉口するが、ウソはウソと国民に知らせなければならない。
 安倍首相の論法は1人当たりの実質賃金は減っているが、総額なら増えているというものである。
これは確かにそのとおりで,雇用者数が増えているから。だが問題はそれがアベノミクスのおかげ?ということである。

 上記の表は職種別の増加雇用者数。これは2018年の職種別雇用者数からアベノミクス前である2012年の職種別雇用者数を引いたもの。

 医療・福祉が2位以下を大きく引き離してぶっちぎりの1位。125万人も増えている。これは明らかに高齢者の増大が影響しているので、アベノミクスと全く無関係。2位の卸売・小売も円安によって恩恵を受けるわけではないし、原材料費の高騰や記録的な消費低迷からするとむしろ不利益を被っている側なので、アベノミクスと無関係。3位の宿泊業・飲食業について、宿泊は円安による外国人旅行客の増加で恩恵を受けるかもしれないが、飲食は原材料費高騰や消費低迷の影響を大きく受けるので、アベノミクスとは無関係。4位の製造業はアベノミクスの影響といってよいもの。5位以下は基本的に国内需要に頼るものばかりなのでこれもアベノミクスとは無関係。

 既述したようにアベノミクスは金融緩和で「円の価値を落とした」だけ。これと因果関係(円安で得するか否か)が無ければ「アベノミクスのおかげで雇用が増えた」とは到底言えない。だから安倍首相の言は、常に都合の言い数字、文脈の切り取りでプロパガンダするから質が悪い。「増えた雇用の内訳」を見ると、アベノミクスと全然関係ないことが良く分かるのである。

アベノミクスのウソ:失業率低下はアベノミクス前からのトレンド

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データ元:総務省統計局

 ここでも安倍首相のウソが分かる。アベノミクスで失業率が下がったと、これまた得意げに宣伝する。2008年のリーマンショックからマスで見る限り、徐々に雇用の改善がアベノミクス前から始まっており、トレンドとして定着している。高齢化が雇用改善の主因であり、アベノミクスは関係ない。またいいとこ取りのつまみ食いだ。

アベノミクスのウソ:求人数増もアベノミクス前からのトレンド

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データ元:厚生労働省

 安倍首相の自慢する有効求人倍率についても見ていく。これも失業率と同じくアベノミクス前から有効求職者数の減少が始まり、他方で有効求人数が増加し続けているためで、有効求人倍率(有効求人数÷有効求職者数)は増加し続けている。アベノミクス前からのトレンドでアベノミクス成果ではない。ここまでいくとほとんど詐欺の感すらする。国民を舐めきっている証拠で、批判力のない新聞、テレビ、ラジオで毎日これらの偽情報を刷り込まれると、真実と思い込んでしまう人も多い事だろう。

アベノミクスのウソ:就業者増の主役は働かざるを得ない65歳以上f:id:rainbowsanda170422:20190329082524j:plain

データ元:総務省統計局

 さらに年齢層の就業者が増えたのか見てみよう。このグラフは年齢別の就業者について、2018年の数字から2012年の数字を差し引いて算出したもの。安倍首相がいう就業者数が増えたの中身は、働かざるを得ない高齢者が増えたという事が分かる。

 65歳以上の増加が圧倒的だ。266万人も増えている。年金だけでは生活していけないということなのだろう。死ぬまで働けということなのだろう。新羅万障を司るとバカな表現しかできない安倍首相は、官邸ぐるみの忖度ヨイショに踊らされて、全能感に浸っているのか。国民の貧困化へのイマジネーションは当然、働かないだろう。

アベノミクスのウソ:18年実質賃金大半がマイナスの舞台裏

 国会で追及された毎月勤労統計の経緯から。毎月勤労統計不正では、厚労省が東京都の500人以上の事業所について、本来全数調査すべきところを3分の1程度しか調査していなかったことが問題発覚のきっかけ。しかし、実はもっと重大な問題がその裏に隠されている。2018年1月から賃金の算出方向が変更され、従来よりも2000円程度高くでるようになった(主にベンチマーク更新のため)。高くなった要因は①サンプルの半分入替②ベンチマーク更新③3倍補正である。ベンチマークとは最新の経済産業構造調査に基づく労働者数推計の基準で、これをもって賃金を算出するもので係数のようなものと思えばよいらしい。この更新の影響が大半を占めている。そして、③の3倍補正というのは,約3分の1しか抽出していなかった調査結果を3倍して復元する操作のこと。これを2018年1月からこっそり行っていたことが最近判明した。そして、厚労省は2017年以前も3倍補正をして修正値を公表した。経済センサスをもとに、産業構造の変化を反映させるというのが「ベンチマーク更新」(2018年毎月勤労統計は2016年経済センサス調査を使用)である。毎月勤労統計調査はサンプル調査であり、全事業所に対して実施しているものではない。経済センサスは全数調査であり、常用労働者数については正確な数がこれで分かる。そこで、全数調査の結果を基準(ベンチマーク)にして、サンプル調査で得られた数字を修正している。

 しかし①のサンプルが半分違う点と、②のベンチマークが違う点はそのままである。本来遡及改定すべきだが厚労省はそれをせず、算出方法の異なる2018年と2017年のデータを「そのまま」比較し、「公表値」として発表しているのである。本来あり得ないことだ。

 この「算出方法の違うデータをそのまま比較している」ことがおかしいと、明石氏は2018年の9月10日付のブログで指摘している。では厚労省がネットで公開しているのサンプル半分入れ替えとベンチマーク更新の説明を見てみよう。※赤字のアドレスに①と②の変更について「毎月勤労統計におけるローテーション・サンプリング(部分入替え方式)の導入に伴う対応について」の表題で説明のPDFがある。  https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/maikin-rotation-sampling.pdf 

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上記の説明は厚労省のPDFにあるベンチマーク変更の解説。内容は旧サンプルと新サンプルを比較すると、差が2,086円も新サンプルで高くなる。そのうち、部分入れ替えによるものが295円。ベンチマークの更新によるものが1,791円である。

 問題は、遡及改定していないので、平成29年までの賃金は旧ベンチマークのまま。新しいベンチマークを採用している平成30(2018)年の数字とは、当然大きな差が出ることになる。明石氏が行ったこの指摘は重要で、このカラクリが分からないと、短絡的に世間はアベノミクスで賃金が上がっていると勘違いしてしまう。実際、昨年のメディアはこぞって6月の賃金上昇を大きく報道した。

 グラフで見ると異常値があきらか。これによって平成30年の賃金の伸び率は当然高く出る。それ以前の3年間と比較すると一目瞭然。これまで説明してきたように、実質賃金も民間最終消費支出も増えていない。エンゲル係数も上昇。GDPもかさ上げ。周辺データがこの状態で、毎月勤労統計だけが伸びるはずがない。

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 しかし、名目賃金よりも物価上昇率を差し引いた実質賃金こそ働くものにとって意味がある。2018年と2017年でサンプル企業が半分入れ替わっているものの、残り半分は共通している。そこで、厚労省はその共通事業所同士を比較した賃金の伸び率を「参考値」として公表している。だからこちらが賃金の実態を表している。そして、総務省の統計委員会もこの参考値の方を重視せよと言っている。実質賃金は出せる。以下が明石氏の計算結果。

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 上記グラフのオレンジの色は厚労省が1月22日に発表した実質賃金の公表値(ブルーは同じ事業所比較のもの、正しい結果が示されている)。18年1月から半分サンプルが変更されており、サンプルの違う17年と単純に比較できないものを敢えて行って出したものだ。同じ事業所で比較した参考値こそ、賃金の伸び率の実態がわかるが、安倍政権は難癖をつけて何としても発表したくないらしい。以下はその記事。

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極めつけはこのグラフ。実質可処分所得の推移で国民の生活が犠牲にされている!

醜い忖度政治横行、厚労省は正確な統計手法を放棄

 厚生労働省が中規模事業所に対する毎月勤労統計の調査方法を2018年1月に変更した際、最新の経済産業構造調査(経済センサス)の結果を過去のデータにさかのぼって反映させる補正を総務省の承認を得ず、独断で取り止めていました。

 毎月勤労統計をめぐっては、18年1月から厚労省が不正調査の「補正」をひそかに始めた他に、調査対象事業所を「総入れ替え方式」から「部分入れ替え方式」に変更し、最新の経済産業構造調査に基づく労働者数推計の基準(ベンチマーク)の更新が行われていました。調査対象事業所の入れ替えや労働者数推計の基準の更新は、それ以前の統計データとの間に「ギャップ(かい離)」を生じさせることから、これまで過去にさかのぼってデータを補正する処理(「遡及(そきゅう)改定」)を加えていましたが、厚労省は18年1月から、遡及改定を中止。このため、賃金伸び率が18年1月から急激に上振れしたことが明らかになっています。データ補正の変更は統計を管轄する総務省の承認が必要ですが、その手続きも無視しています。

 全ては官邸の言いなりで、ウソでもいいからアベノミクスの成功のデータを作れという、あり得ない腐敗がこの政権では蔓延しています。真実などこの政権では重要ではありません。国民を騙す詐欺を公然と行っています。

 アベノミクス6年で国民生活は良くなったでしょうか。平成の失われた30年は、日本社会の対立と分断、経済の停滞、雇用不安、貧困化を一層深めています。安倍政権による政治の劣化は、社会全体の規範を奪い、不条理で扇情的な言動が大手を振るい、真実を見えなくしています。

 このまま安倍政治を続けさせてはなりません。選挙で安倍政権NO!の意志表示こそ、誰もができる政治参加です。政治は国民のもので、何よりそのひとり一人が尊重され、大切にされなければなりません。

 もう一度問います、このまま安倍政治が続いて日本はよくなりますか?

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「あなたに答える必要はない」ー 安倍政権の本質

言論弾圧を公然と行う安倍政権の驕り

 官邸記者会見の菅官房長官の答弁と、上村室長の東京新聞の望月記者への醜い質問妨害が続いています。内閣記者クラブが注目を浴びた最大要因は、ひとえに望月記者の貢献度が大きい。従来の政権側の垂れ流し広報に堕していた記者会見が、理不尽な政策を一方的に進める安倍政権にその見解をただすという一番国民が知りたがって事を、望月記者が代弁し圧力と妨害に抗しながら質問してくれています。

 ところが、2月26日の会見で飛び出した「あなたに答える必要はない」という、明らかな菅長官の暴言は、望月記者への威圧と同時に国民に対して発せられたものと言うべきものです。政権に逆らう、意に沿わないものには圧力をかけ、排除するという政権の本質を露わにしたもので、見過ごすことはできません。これは2017年7月の安倍首相の都議選最終演説の「安倍辞めろコール」のヤジに対して、「こんな人たちに負けるわけにいかない」と安倍首相が言ったことと同質で、「俺様にたてつく奴は黙れ」という民主主義破壊の脅しに他なりません。

 東京新聞の望月記者と菅長官のやり取りに関して、官邸側は東京新聞に抗議の申入れを執拗に送っています。この経緯は後で触れますが、この陰湿な圧力は安倍政権の体質そのもので、記者会見で記者の質問に問題や誤解があるというなら、その場で指摘すれば済む筈なのに官房長官はしない。それどころか、はぐらかしや一方的に質問を打ち切る場面が多々あります。申入れの中身は「事実誤認※」の質問で、視聴者に誤解を与えるというもので、この点の記者会と官邸の問題意識の共有が必要などときれい事をいっていますが、本質は圧力です。圧力は安倍政権の十八番ですので。※事実誤認とは辺野古埋め立ての土砂に赤土が大量に混じっており、沖縄県が問題だとしていることを指していますが、業者任せの古い検査報告書で問題なしとしています。

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会見では木で鼻をくくった答弁と脅しを繰り返す菅官房長官、質問妨害の上村官邸報道室長と記者会見の在り方を問い直した東京新聞・望月記者。記者会の唯々諾々として政権側に従う弱腰が最大の問題であり、完全に舐められているとしか言いようがありません。

東京新聞記者のやりとりで分かる政権側の無理筋

 菅義偉官房長官東京新聞記者による「回答拒否」の26日の記者会見でのやりとり。
 【午前】
 記者 上村(秀紀首相官邸報道)室長の質問妨害について聞く。1月の(自身の)質疑で1分半の間に7回妨害があった。極めて不平等だ。妨害が毎回、ネットで拡散されることが政府にとってマイナスだと思っていないのか。
 長官 妨害していることはあり得ない。記者の質問の権利を制限することを意図したものでは全くない。会見は政府の公式見解を(記者の)皆さんに質問いただく中で国民に伝えることが基本だ。だから経緯(の説明)ではなく、質問にしっかり移ってほしいということだ。
 記者 妨害ではないというのは事実誤認ではないか。非常に違和感がある。政府が主張する事実と取材する側の事実認識が違うことはあって当然だ。今後も政府の言う事実こそが事実だという認識で、抗議文をわが社だけでなく他のメディアにも送るつもりか。
 長官 事実と違う発言をした社のみだ。

【午後】
 記者 午前中は「抗議は事実と違う発言をした社のみ」とのことだったが、東京新聞首相官邸が出した)抗議文には表現の自由(にかかわる内容)に及ぶものが多数あった。わが社以外にもこのような要請をしたことがあるのか。今後も抗議文を出し続けるつもりか。
 長官 この場所は質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではない。明確に断っておく。「会見の場で長官に意見を述べるのは当社の方針でない」。東京新聞からそのような回答がある。
 記者 会見は政府のためでもメディアのためでもなく、国民の知る権利に応えるためにある。長官は一体何のための場だと思っているのか。
 長官 あなたに答える必要はない。時事ドットコムニュース 2019/02/27-16:59)

  以上が菅官房長官東京新聞・望月記者の質問に対して語った発言です。菅氏の威圧的な姿勢(=強権安倍政権)が、遺憾なく発揮されている記者会見です。記者会見は政府の公式見解を述べる場であり、質問を受けるが意見を言う場ではないという主張は全くもって聞く側には理解できません。

 意見を含まず質問せよなど、生の記者会見では不可能です。安倍政権の矛盾や公平性や妥当性を欠く政策について、問題や疑念をぶつけるのは記者として当然です。官邸側の主張は理不尽で言論の報道の自由言論の自由を奪うもので許せません。記者の質問は、最も国民が聞きたい知りたいところであり、だからこそ多くの支持を得ています。

「あなたに答える必要はない」の発言は2月26日午後の部の動画後半にあります。27日の動画ではさすがに他社新聞記者も「あなたに答える必要はない」の菅官房長官発言を問題視しています。

発言取消し否定の菅官房長官の異様な傲慢

 菅義偉官房長官は2月27日の記者会見で、東京新聞記者が26日に会見の意義などについて質問したのに対して「あなたに答える必要はありません」と述べたことについて、撤回や修正の考えはないと明言しています。
 発言は、東京新聞記者が26日午後の会見で、「この会見を一体何のための場だと思っているのか」と質問した際の回答。菅氏は27日の記者会見で発言の趣旨を問われ、「私はこれまで国会や記者会見の場で累次に渡って、官房長官記者会見は記者からの質問に対し政府の見解、立場を答える場であると述べてきた」と強調。しかし、質問と見解・意見の差異を区別することにこだわるのは政府側の屁理屈で、しかも形式的とは言え、記者会が記者会見を主催してる訳ですから、記者側が政府の矛盾点を追及するのは当然と言えます。さらに言うなら、官邸側の上村氏が司会をすること自体も変です。
 しかし、菅長官は「あなた」と質問者を特定したうえで、答えを拒否しています。記者に圧力をかけていることは明らかなのに、それには答えず逃げています。東京新聞・望月記者の質問に手を焼いていることと、動画が政府自身がネット配信しているというジレンマが見てとれます。国民にとっては安倍政権の悪辣振りが「生」で知り得る官房長官記者会見は、これからも監視続ける必要があります。

真っ当な東京新聞の検証と見解

 東京新聞はこれまで9回にわたる官邸側から申し入れがあったことを明らかにし、新聞紙上で公開の反証記事を掲載しています。 発端は辺野古埋め立てへの赤土投入の疑惑を、望月記者が質問したことに始まります。

 官邸側の抗議内容は2点。1. 沖縄防衛局は埋め立て土砂は仕様通りと確認済み  2. 琉球セメントは県の立入検査を受けており「事実と反する」との抗議らしい。しかし、検査報告書は16年と17年に沖縄セメントが業者に依頼したものを提出したもので、防衛局自ら行ってはいません。沖縄県は立入調査やサンプル提供を求めていますが、国側は拒否し続けています。要は検査が古く、防衛局は業者任せで何もやってないのに、事実誤認とわめき立てています。

 抗議は「事実に基づかない質問は謹んでほしい」から、さらに飛躍して「記者会見は意見や官房長官に要請する場ではない」として、質問や表現の自由の制限まで及んでいます。意見や要請の解釈は、官邸側の勝手で恣意的にいくらでも変えられるもので、勝手なご都合主義と言わざるを得ません。

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官邸の上村名で内閣記者会への申入れ文書。中身は東京新聞記者排除の意図がありあり。この抗議文はさすがに生ぬるい記者会も受け取りを拒否したようですが。

 さらに驚くのは、度重なる抗議の中で望月記者の森友疑惑での「記者は国民の代表として質問に臨んでいる」の発言を捉えて、子供じみた反論を行っています。「国民の代表とは選挙で選ばれた国会議員。貴社は民間企業であり、会見に出る記者は貴社内の人事で定められている」、「国民の代表である根拠を示せ」と。ウソと隠ぺいの安倍政権とその同調国会議員に真実を求めることなど、できるはずがありません。メディアが本来の国民の知る権利の代行をしているわけで、その意味では明白に国民の代表であるはずです。以下東京新聞の反論の記事です。

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東京新聞による時系列の9回に及ぶ官邸申入れ内容。赤アンダーラインは国民の代表の根拠を示せと官邸の長谷川内閣報道官名で抗議。この人物は上村氏の上司。菅長官ー長谷川報道官ー上村報道室長のラインでつながっています。

「知る権利」を奪う、国民全体に向けられた課題

  今回の問題で突きつけられたものは、報道の自由や国民の知る権利を、安倍政権はいとも簡単に躊躇なく奪うということです。安倍政権は明らかにここに来て言論統制を狙ってきています。現実にテレビはもちろん新聞も政権批判には既に及び腰です。

 安倍政権の東京新聞と望月記者への圧力は、民意無視の沖縄・辺野古新基地建設に繋がり、最終的には国民の権利や自由の制限に行き着きます。秘密保護法や共謀罪、盗聴法、戦争法の安保法まで作り、憲法改正を企み、平和と民主主義を脅かしています。国民は大人しく忘れやすいと高をくくっています。目の前の繰り返される安倍政権の横暴をこのまま許せば、どうなるかは明らかです。だからこそ、重大な問題を背景に持つ今回の安倍政権の言論弾圧を許さず、撤回させなければなりません。

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社会を変えるには

 どう見ても真面ではない安倍政権が今もって継続しています。何故なんだろうと毎回疑問に思っています。安倍晋三という個人は、無能と言っても差し支えないでしょう。ただ異常な特権意識と猜疑心の持ち主であり、本人周辺をお友達で固めています。ご注進する輩には事欠きません。森友・加計疑惑、特に森友疑惑では財務省が公文書改ざんをやっていますが、トカゲのシッポ切りで安倍首相、麻生財務省も責任すら感じていません。一方、世論調査で森友・加計疑惑の首相説明に納得しない比率が高いのに、安倍政権支持はそこそこある。疑惑に納得しない高い比率が、そのまま内閣の不支持にならない国民意識って、何だろうと不思議でなりません。と思うと、今までとは異なる社会状況が生まれているのではないかという、モヤモヤが常にありました。

 今回はそのモヤモヤ解消の糸口になるか分かりませんが、「社会を変えるには」小熊英二講談社現代新書を、当方が必要と思われる所を引用して行きます。かなり独善的で、間違った解釈もあるかも知れません。できれば元ネタ本をお読みください。

日本社会はいまどこにいるのか

 2000年代から、不況だ、格差だ、未来が危ぶまれる、という声が日本社会で強まってきました。1960年代から80年代まで、「Japan as No.1」とも呼ばれた日本。いい学校に行って、いい会社に行けば、安定した生活と老後が待っていると信じられていた「1億総中流」の時代。その時代に築かれたしくみが、雇用でも教育でも、社会保障でも政治でも、行き詰まっています。しかし、次のモデルが見出せない。これが日本社会の現状です。

 著者はわが国の長く続く閉塞状況をポスト工業化社会と社会現象が一つの固定化したものとして捉えられない、常に変化し続ける「再帰性の増大」(※再帰性については後述)をキーワードに、様々な具体例を提示して説明しています。経済が右肩上がりで「一億総中流」と言われ、画一化して、社会が分かりやすく俯瞰できた工業化社会が終わり、人々の生き方や価値観は「自由」で「多様」になる一方、マスとしての階層はなく、見通しがしづらい社会が到来し、従来の政策が機能しない状況になっています。その矛盾が一気に現実になったのが東日本大震災での福島第一原発事故です。安全と言われた日本の原発は、政府や利害関係者の原子力村によって作られたウソだったことが白日の下にさらされました。

 ポスト工業化社会

 情報技術が進歩して、グローバル化が進みます。先進国の製造業は、国内の賃金が高いので、海外に移転するか、海外の工場と契約を結びます。国内に自社工場を持つにしても、コンピュータ制御の自動機械があれば熟練工はあまり必要ありませんから、現場の単純業務は短期雇用の非正規労働者に切り替わります。

 事務職でも、単純業務は非正規に切り替わり、デザインなどの専門業務は外注すればよくなります。長期雇用の正社員は、企画を立てたりする少数の中核社員のほかはいらなくなります。ピラミッド型の会社組織も必要なくなって、随時に集まって随時に契約解除する、ネットワーク型に変化しています。

 先進国では製造業が減り、情報産業や、IT技術をもとにグローバルに投資する金融業などが盛んになります。また宅配業やデータ入力業など、新種の下請けの仕事がたくさん生まれます。ビジネス街で働く中核エリート社員を支えるためには、単純事務作業員やビル清掃員、コンビニや外食産業などの労働者が必要です。

 これらはマクドナルドのアルバイトに象徴される、「マックジョブ」と呼ばれる短期労働者の職になります。一人の中核エリートを支えるのに、5人の周辺労働者が必要と言われ、先進国の都市であっても、多数派の周辺労働者が形成され、格差が増大します。

 働き方が変わってくると、労働組合が弱くなります。人の入れ替わりが激しく、外注や短期契約が増え、組織率が下がります。「労働者」といっても様々で、どの労働者の利益を守るかがむずかしくなります。従来の労働組合に組織されていた正規雇用の人たちを守ろうとすると、非正規労働者との対立も起きがちになり、労働組合は一部の人しか代表していないと思われる事態になります。

  働き方も服装も「自由」で「多様」になって、労働者意識が薄れていきます。それもまた、労働組合と労働政党を弱めます。しかし、保守政党も「自由」と「多様」を背景に同様に企業家、農民の支持も弱まります。既存政党による政治が安定を失って、行き場を失った浮動票が増えていきます。

 正規雇用が減る中で就職競争が激化し、大学進学率は上がります。かつての受験戦争とは様相が異なります。家庭が豊かで成績もいい層の競争が上がり、それ以外の中堅以下の学校に行っても将来は知れているので、意欲が下がり勉強をしなくなる層が増えます。親の格差が子どもの世代でも再生産されます。

 子どもに学歴をつけさせるために、収入が必要になります。男性の雇用と賃金が不安定化しているので、専業主婦ではやっていけないので、女性の労働力率が上昇します。男性の賃金が下がって働く女性が増えると、いろんな意味で余裕がなくなり家庭が不安定化するとも言われています。

 失業と非正規は全体に増え、年長者の正規雇用の維持が優先されることなどのためにとくに若者でそれらが増加します。安定した収入が収入が得られないので、親元同居が長期化して、晩婚化と少子化が進みます。正規雇用の親元を離れたら非正規の若者は健康保険にも入れない現実があります。

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再帰的近代化

 分断と対立、格差と貧困。政治の右傾化。現代の政治の危機にどう対応すべきかという問いに、本の中でイギリスのアンソニー・ギデンズの「再帰的近代化」の考え方を紹介しています。ギデンズは「左派右派を超えて」「第三の道」などの著作があり、ブレア首相のブレーンを務めています。

 「再帰的近代化」とは、すべてが再帰的(reflexive)になり、作り作られる度合いが高まり、安定性をなくする近代化の形です。一方、「単純な近代化」というのは個体論的な合理主義が成立していた近代化のことを言います。主体(政治権力)が客体または個体(明確に分類できた階層)を把握できる。客体の傾向を分析して、要望の多い政策を行う。しかし、今ではその方法が成り立たない。

 それはなぜか。「単純な近代化」の前提である、「個体」というものが成り立たない。例えば村は一つの個体である。だから村の民意は、選出された議員に代表されるはずだ。労働者階級も一つの個体であるから、こういう政策をやれば満足するはずだ。同様に失業者は、母子家庭は、高齢者は1つの集団として把握し、福祉政策を行えばよい。この前提が成り立っていた時代は、代議制民主主義も、経済政策も福祉政策も機能します。

 かつての日本の工業化社会に当てはめれば、もっと分かりやすいかも知れません。1960年代から80年代の日本では、安定雇用が広がったので、生活様式やライフサイクルが均質化しました。男なら18歳から22歳まで学校へ行き、新卒で就職して、着実に給料が上がり、60歳で引退。女なら24歳までに結婚して、30歳までに2人の子どもを産み、35歳で子育てを終えて、パートに出た後、老いた親を介護する。こういう社会は、きわめて政治や政策がやりやすい。「労働者」「地域」の代表が議員になり、「雇用者」「自営業者」「農民」「主婦」「高齢者」といった分類に対応した政策をとればよかったからです。

 いまやこの分類に当てはめることはできません。ポスト工業化社会で、社会との関係において人々が「自由」になって、選択肢が増大しています。もっと言えば人々が「選択できることを意識するようになった」というのが大きな変化です。

 ここで大事なのは選択可能性の増大は、固定した関係が成り立たないことです。関係性においては相手がいますから、相手も選択可能性の増大の位置にいます。例えば就職活動で見ると、学生は何社もの企業が自由に選べる反面、企業側も同様の自由で学生を自由に選別できます。結果、就職できない若者が増えることになります。学生側が贅沢だという論拠は、選択肢と多様性の増大の時代には意味をなしません。社会がそう動いているのですから。この関係は男女、家族、企業間、政治家と有権者とすべてにあてはまり、相互に変わっていくという意味で不安定性が増します。

再帰性が増大する

 近代的な経済学や政治学などは、主体の行動と選択の自由度が増せば、観測と情報種収に基づいて合理的行動が可能となり、世界は予測可能になって操作できるようになると考えてきました。ところが現実は全然そうなっていない。繰り返しますが、主体の影響(こうだろう作った予測)を受けて客体(その情報を受けて、考え方を作り変える)も変わる。社会で増大しているのは、この「作り作られてくる」度合いです。ギデンズは、これを「再帰性の増大」と呼びました。

 再帰性の増大は、誰にも不安定をもたらしますが、恵まれない人々への打撃が大きくなり明日。かつては貧しい人々は、共同体や家族の相互扶助で、経済的貧しさをある程度カバーしていました。まだ包摂の社会が成り立っていました。あるいは、自分が培った仕事や技術や生き方への誇りで、心理的貧しさを補ったりしていました。

 しかし、再帰性が増大し、選択可能性と他人の視線にさらされると、誇りも揺らいでいきます。そして相互扶助も誇りも失って、無限の選択可能性の中に放り出され、情報収集能力(自分で情報を集めて考え、自分で行動することを要求される)と貨幣なしにはやっていけない状態に追い込まれます。このあたりは現実の日本社会に見られる自己責任論が典型と言えます。

保守主義の逆機能

 いま日本の政治に見られる保守主義(どう見てもファシズムですが)の台頭は、この時代の変化に対応できていません。一億総活躍社会だの、働き方改革だの、地方創生だの言葉だけで、中身は財界主張にそったもので搾取の手段を変えただけです。「女は結婚して家に帰れ」、「今の若者はがまんが足りない」と唱え、カテゴリー化の呪縛に相変わらず固執し、個人は変化し続けるという再帰性の増大を、かけ声で阻止することはできません。「昭和ノスタルジー」の主張もこの類いです。こんな主張の政治家や経営者は特権意識が強く、自身は「自由」に振る舞いながら、相手には「伝統的」な行動を要求します。

 自分たちの振るまいが、相手に影響を与え、余計に再帰性を増大させることが理解できていません。そこには対立が生まれ、逆機能が生まれ社会がより不安定化します。こうした保守主義の典型が、少子化です。少子化は、麻生クンのようなアホボンが言うような低俗な論拠で起こっているのではありません。

 ポスト工業化社会では、日本だけでなく、スペイン、イタリアなど伝統的な性役割にもとづいた価値観や制度の国の方が、少子化が激化する傾向にあります。それは男性の平均賃金が下がり(安倍ボンの名目総雇用者所得で賃金上昇もウソ、実質総雇用者所得はマイナス、森羅万象?に目配せする超能力者にしてはお粗末!統計不正はアベノミクス偽装に利用が真実!!、女性が働きに出ざるを得ないのに、おバカな日本会議やその同調者の保守主義が障害になって対応できないからです。男性は家事をしない、休暇制度も保育園も整備されていない、というのでは、女性は子どもを産まないか、あるいは結婚しません。(再帰性の増大で、当然女性の選択肢も増大する結果です)

 因みに育児支援や休暇制度を活用して仕事をやめなかった女性の方が、専業主婦になった女性より、生涯に産む子どもの数は多いとされています。

対話と公開制

 ではどうするか。万能薬はありません。しかしギデンズの提案は、再帰性を止める(保守主義)のではなく、再帰性には再帰的に対処すべきだと。

 再帰性が増大した社会の問題も、内在的に対処するしかない。具体的には、対話(問答法、弁証法)の促進です。もう「村」とか「労働者」という従来の「われわれ」に、そのままの形で頼ることはできない。ならば対話を通してお互いが変化し、新しい「われわれ」を作るしかないないのです。

 例えば、「私」と「あなた」が対立した場合です。どちらかが悪いと責めるか、妥協するか、お互いに不干渉でいくか、腕力や言葉の暴力を振るうか、という形になってしまいがちです。一方的に理性を行使したり、伝統に依拠したりすれば、事態は益々悪化します。対話によってお互いが変化し、関係を変えれば、新しい「われわれ」を作ることになります。

 こうして作られる関係を、ギデンズは「能動的信頼」と呼んでいます。こちらから働きかけて、信頼を作っていくことを言います。自分が相手に何をできるかを考え、それを実行して相手の信頼を」得ていく。

 政治で言えば、公開と対話がコンセプトになります。代議制民主主義にできるだけ公開と対話を導入し、人々に参加してもらうことです。そうしないと、政治に関心の少ない人が増え、正統性が下がって、政治は不安定になる一方となります。

 現代では、先進国で、地域主催と公聴会がさかんになっています。小さな単位で対話に参加できる仕組みを取り入れ、直接民主主義の活力で代議制民主主義を補完しないと、民主主義そのものが持たなくなってきたからです。集会やデモ、ハンガーストライキもまた、直接民主主義の活力を社会に与えていく方法です。

エンパワーメント

 とは言っても、うまくいかないことも多い。まず対話にのってこない。不慣れで知識もない。一から教えたり、学ばなければならない。

 政治で言えば、公聴会を開いても地元の有力者しかこない。一般参加者を集めても発言してくれない。知識もないからまともな議論にならない。結局いままで通りにやった方が早いし、相手もそれを期待したりする。これは対話すべき主体の力が低くなっているということ。対話に参加してこない理由の一つは、自分はダメだと思っている。力がない、知識がない、慣れていない、できない、だから変えられないとなります。

 それを変えるためには、対話主体を元気づける、力をつけるしかありません。エンパワーメント(力づけ)し、アクティブ化しなければならない。それを助けるのが、政府なり専門家のやるべき新しい役割だと言うことになります。

 例えば家族政策については、知識の普及や相談所の充実です。男女の役割が変わっていることを教育で教える。最低限の家事が誰でもできるように講習する。避妊や育児知識を普及させる。問題が生じた場合にいつでも相談できる場所を用意し、専門の相談員を配置する。

 医療では、医学知識を普及させ、自分で予防できるようにする。あるいは情報を理解して治療法を選択できるようにする。労働政策なら、失業した人、あるいはよりよい就職をしたい人には、職業訓練を行って自力をつけ、職業選択をする力をつける。誰でもキャリアアップできるように、大学をはじめ高等教育はできるだけ無償化する。

 政治なら、トップダウンを避け、情報公開と公聴会などで参加を促す一方、政治についての知識を普及させ、人々の自立能力を高める。また、分権を行って、役割を担わせる。NPOの認可と助成、寄付税制などの仕組みをつくり、自発的活動の活性化を促す。

 地方経済なら、大工場を誘致やそのために補助金中央政府から貰うとかのやり方をやめる。地元にあるものを使って、お金をかけずに小規模でも付加価値の高い産業を起こし、ネットワークを通じて多角的に販売していく。エネルギー分野で言えば、原発のような大規模発電を誘致するのではなく、小規模な再生産可能エネルギー発電を、地元のお金を出し合って協同運営していく、形になるでしょう。

 いま三田市で問題化しているトップダウンでの市民病院の民営化に向けての統合化は、地域医療の核として市民病院が必要という市民の願いを踏みにじるものです。市民病院の必要性は「再帰性の増大」の定義から言えば、経済性だけで結論を出すのは誤っています。選択肢の多様性からも対話と公開性が必要な政治に、真逆のプロセスで政策決定が行われようとしています。病院の統合化問題は三田市民が選び、決めるるという基本を政治が忘れています。主体は市民です。

 先に掲げたことは個々の政策は提唱されたり、部分的に実施されていますが、基本のコンセプトが共有されていません。再帰性の増大した社会では、そういう方向に転換しないと、社会運営が必然的に行き詰まってしまいます。

 安倍政治を変えようとする市民運動は、自発的な集まりです。原発事故以来の運動は、今も全国で継続されています。政治家に任せておけば社会は良くなるなんて思っている人はほぼいないでしょう。安倍首相が政権をとって以来、政治はビジョンもなく、危険な回帰性に終始しています。だからこそ、市民を巻き込んだ運動が必要です。

 著書では「社会を変える」方策や歴史についての言及が多々ありますが、ブログはここまでとします。

PS:反原発運動に見る「社会を変える」可能性

 筆者・小熊英二氏は反原発運動に「社会を変える」可能性を見い出しています。東日本大震災福島第一原発事故を受けての2011年4月の自発的に発生した高円寺反原発デモに筆者も参加しているのですが、その時の感じ取った感覚がベースになっています。その現場には大きな開放感と活力があったと。小熊氏は反原発運動を以下のように表現しています。

 2011年からの脱原発のデモで、多くの人が望んでいたことはおそらく以下のようなことだと思います。

 一つ目は、自分たちの安全を守る気も無い政府が、自分たちを蔑ろにし、既得権を得ている内輪だけで、すべてを決めるのは許せない。

 2つ目は、自分で考え、自分が声を上げられる社会をつくりたい。自分の声がきちんと受け止められ、それによって変わっていく。そんな社会をつくりたい。

 3つ目は、無力感と退屈を、ものを買い、電気を使って紛らわせていくような、そんな沈滞した生活はもうごめんだ。その電気が、一部の人間を肥え太らせ、多くの人の人生を狂わせて行くような、そんなやり方で作られている社会は、もう嫌だ。

 これらは、人間がいつの時代にも抱いている、普遍的な思いです。こうした普遍的な思いと繋がった時に起こる運動は、大きな力を持ちます。それが2011年の日本では、脱原発という形をとった、ということです。

 日本で脱原発がかっこうのテーマであるというのは、そういう意味です。そこから各種の行動や議論がおこり、政府側も対話を重視せざるをえなくなり、人々のいろいろな行動や議論や参加の機運が高まってくれば、それは単に原発やめることに留まらない、「社会を変える」ことになるでしょう。

 デモは誰でも参加できる広場です。何か問題が起きたとき、市庁舎がある広場に集まって声を上げるのは民主主義の本来の姿です。そうした「公」の場では、俗世でその人が誰であるかは問われません。誰がきてもいいし、誰でも平等に遇されます。そこには音楽があり、大声で自分の意見を言ってよく、誰とでも交流ができます。

 これが小熊氏の考え方であり、自発的に発生した2011年以降の反原発運動に市民が起こす社会変革の可能性を見出している理由です。ポスト工業化社会と再帰性の増大で揺らぎ、不安定化する現代社会で、市民が自ら考え行動する運動体こそ重要だとメッセージしています。


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日本という国を知る

 今年最後ということで「いまの日本って何か変」という自分の中にあるわだかまりが、少しでも解ける本はないかと思い、ネットで探していると「決定版 日本という国」が目に留まり、取り合えず購入して走り読みしてみました。著者は小熊英二氏で、慶応大学の教授で社会学者です。とても興味深い人です。以下ブログはその内容を参考にしています。内容は10代の読者を意識した平易なもので、当方にとっても理解しやすく、多くの示唆に富む一冊でした。特にウソとごまかしが平然と行われる今日の政治に対して、若い人が日本という国の有り様を理解するのに役立つ一冊と思います。

 「世界の真ん中で輝く日本を」なんて臆面も無く言う安倍総理がこの日本の政権を握っています。世界情勢が変わり、日本だけが一人勝ちできる時代はもう来ません。冷戦が終わり、世界がフラット化し、経済発展を追求する時代が訪れて、多々問題はありますが、経済力をつけた市民が豊かさを享受する時代になりました。にもかかわらず、日本のトップが「過去の栄光をもう一度」の発想しか持てないのは、国民にとって最大の不幸です。なぜか、それには明治期から続くアジア諸国を低く見る日本人に刷り込まれた偏見や、戦後のアメリカ一辺倒の関係が強く影響していることをこの本は教えてくれます。

 「決定版 日本という国」は二部構成です。一部は明治からの植民地化されないために強く豊かになろうという近代化と戦争の歩み。二部は敗戦と、日本国憲法日米安保条約に象徴されるアメリカとの変えるべき関係が変えられないという、過去回帰志向の政治体制の歩みです。ブログでは二部の戦後の歩みを紹介していきます。

日本が戦争で受けた傷とアジア諸国の被害

  戦争被害について数字を列挙してみます。因みに数字は文科省の検定通過の教科書のものです。少なくとも国が認めた数字ということになります。
日本の被害●戦闘での軍人と民間人合わせて死者約310万人(沖縄戦死者約15万人※沖縄では県民の4人に1人が死亡、広島と長崎の原爆死者約30万人以上)●約1500万人が空襲などで家屋喪失。これらの被害をもたらした原因は戦争そのものですが、終戦間際の日本軍や政府の上層部の天皇制を守ることや戦犯裁判を日本側で行うことなど、自分たちが助かる事だけを考えて人命軽視の時間浪費で、戦争終結を遅らせたことにも大きな責任があります。もっと言うなら、1945年2月の元首相の近衛文麿の降伏交渉の進言を天皇が拒否したという事実も影響しています。敗戦が明白でありながら降伏を引き延ばした結果、3月の東京大空襲、4月からの沖縄戦、8月の広島・長崎の原爆投下、海外での無意味な戦闘での戦死、ソ連参戦やその結果の朝鮮半島の分、それぞれが無くてすんだ悲劇です。戦争被害は当然、日本人だけが受けた訳ではありません。
アジア諸国の被害(日本が侵略して与えた被害※数字は教科書検定記載のもの)●韓国・北朝鮮死者20万人、しかし強制連行で終戦末期の在日の朝鮮人は約230万人と言われ、劣悪な環境下の重労働で死んだ人や「従軍慰安婦」にされた人も少なくありません。さらに朝鮮と台湾は日本に併合されており、日本人として兵隊に徴兵されたり、軍属にされ、日本軍の一員にされて死亡した人も多くいます。●台湾死者約3万人●中国死者約1000万人●インドネシア死者約200万人●ベトナム死者約200万人●ミャンマー死者約5万人●フィリピン死者約100万人●マレーシア死者約5万人●シンガポール死者約8万人

 先の大戦で亡くなった日本人の数も膨大ですが、驚くのはこの戦争で亡くなったアジア諸国の犠牲者の膨大な数です。そして忘れてはならないのは日本およびアジア諸国にの亡くなった人の背後には、心に痛手をおった多くの遺族が存在するということです。戦争という惨禍は、これ程までに愚かなのに、今日の政権の主の記憶からはそれがそっくり抜け落ちているようで、国難と称して勇ましい言葉で国民を欺き、軍拡に奔る愚かな姿が、かつての時代の指導層の愚かさとダブります。

以下の引用は作家の夢野久作の長男・杉山龍丸氏の回想です。彼は復員事務という、戦争帰還者や戦争行方不明者の問合せの仕事に就いていました。それは問合わせ者に「亡くなった、死んだ、死んだ…」と伝えねばならない辛い仕事だった述べています。その杉山氏のところにある日、小学校二年生の少女が、食糧難で病気になった祖父母の代理として父親の消息を尋ねてきた場面の話です。

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憲法は「押しつけ」?実は保守も財界も歓迎 

 敗戦を機にアメリカ占領軍により一連の日本の改革が行われました。 初期の占領政策は、日本の非武装化民主化という意図で進められます。なかでも最大の改革は大日本帝国憲法をいまの日本国憲法に変えたことです。戦争で苦しんだ人々は一応に戦争と戦力放棄をうたった9条を持つ新憲法を歓迎しています。1946年の世論調査では第9条への支持は70%とあります。さらに天皇制存続や資本主義容認の中身もあって保守政治家や財界もけっこう歓迎しています。

 新憲法および特に第9条は「日本の最大の誇り」として捉えられています。文部省から1947年8月に出された「あたらしい憲法のはなし」では、第9条の非武装の理念が生徒に以下のように語られています。「日本は正しいことを、ほかの国よりさきにおこなったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」と。新聞各紙の1947年5月3日の社説も新憲法や9条を評価しています。●日経ー国民に進むべき行く先を教え、世界に偽りもひけめも感じることなく自信をもって内外に示せる●読売ー第9条は敗戦の結果ではなく、積極的な世界政治理想の先駆●毎日ーこれからの日本の国家綱領であり、同時に基本的国民倫理と紹介しています。

アメリカの都合で方針転換、そして再軍備

 しかし、1950年代前後からアメリカの対日政策がソ連との対立で大きく転換することになります。いわゆる東西対立の「冷戦」です。日本を再軍備させて、アジアの西側陣営に組み込む必要性が出てきた訳です。1950年7月マッカーサーの命令で「警察予備隊」が作られます。後に「保安隊」、1954年4月には今の「自衛隊」という名称に変わって行きます。アメリカの方針転換で、東京裁判A級戦犯として裁かれ、それ以外の軍人は公職追放になっていましたが、日本再軍備のために旧軍人将校が必要となり、1950年11月には旧軍人の公職追放解除が始まります。政治家や経済人も同様に釈放されて行きます。1948年12月、東條英機内閣で商工大臣として戦争を遂行したA級戦犯岸信介も釈放されています。「冷戦が悪化すれば首を絞められずにすむ、それがわれわれ(A級戦犯)の頼みの綱であった」と岸自身も回想しています。

サンフランシスコ講和条約と日本の安上がりの賠償

 講和条約は一義的には日本が主権を回復し、戦争状態の国と国交を回復し、占領状態が終了したと理解されているように思います。ただこの講和会議は1950年6月勃発の朝鮮戦争まっただ中の1951年9月に開催されています。講和条約と同時に「日米安保条約」も締結します。朝鮮戦争当時、日本は補給や修理のための後方基地であると同時に、国内にあるアメリカ軍基地が自由に使えることは戦略上の重要な意味を持っていました。占領が終結してもアメリカが日本に居残る必要性から、名目は日本の安全保障のためということで、これらの条約が急ぎ結ばれたという意味合いが大きいと言えます。さらに1952年2月には不平等条約の典型の「日米行政協定」(後に「日米地位協定」と名称変更)を結びます。

 この「日米行政協定」は米軍人の犯罪に対し、日本側に警察権も裁判権もありません。また、米軍の駐留費用は日本も分担することになっています。「日米安保条約」では米軍基地の使用に期限や制限もありません。まさに日本の主権が侵害されているわけですが、この状況は今も何ら変わることはありません。至れり尽くせりの米軍駐留はアメリカ側には願ってもないおいしいものであり、駐留費用負担は今も「思いやり予算」として大きな額を予算の中に占めています。参考までに2019年度の予算案と安倍政権の日米地位協定への認識を示す国会答弁の記録をリンクしておきます。首相、外相にして不平等条約の「地位協定」改定へのアメリカ忖度の消極性と、基地の加重負担にあえぐ沖縄県民の苦痛への無自覚さがよく出ています。

シリーズ検証 日米地位協定/在日米軍関係経費 初の8000億円台/膨らむ「辺野古」

https://note.mu/jun21101016/n/nd811229c4a20

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/341724

 この講和条約で日本本土は占領状態が終わることになりますが、沖縄は切り離され、アメリカ軍の占領統治状態が続くことになります。アメリカは軍事基地としての沖縄の重要性から占領状態に固執したわけです。占領状態におくことで、やりたい放題ができるという訳です。当然、日本の政府もそれに同意しています。沖縄の本土復帰は、1972年5月15日まで待たねばなりません。

 一方、当時の吉田茂首相は極東米軍のクラーク司令官と口頭で密約を交わしています。日本の軍事力は有事の際は、アメリカ軍の指揮下に入ることの合意です。いわゆる「指揮権密約」です。この事実はアメリカの公文書にはっきり残っており、獨協大学名誉教授の古関彰一氏が発掘し、1981年5月22日号と29日号の『朝日ジャーナル』で大スクープとして記事になっています。この「指揮権密約」は政府は認めませんが、今も生きています。

 少し話が現代に飛びますが、「指揮権密約」は重要なことなので押さえて置きます。2015年以来、急速に整備されつつある安保関連法と安倍9条改憲の先には「完全にアメリカに従属し、戦争が必要と米軍司令部が判断したら、世界中でその指揮下に入って戦う自衛隊」ということが現実になるということです。安倍首相がどこまで地位協定や外務官僚が牛耳る合同委員会の中身を理解しているかは、ウソが平気な官僚ですから、甚だ疑問ですが。改憲の真実はアメリカの言いなりになる自衛隊憲法に書き込むということに尽きます。改憲アメリカの強い要望によるもので、冷戦以来、アメリカの要求は一貫しています。唯々諾々、アメリカンファーストの安倍首相の軽々しい判断は、日本を危うくすることにつながります。

 話を戻します。駐留経費を負担し、沖縄を本土復帰の見返りに占領状態のままにし、沖縄の米軍基地を自由に使えるものにし、主権にかかわる「指揮権密約」まで差し出した日本に対して、アメリカは有利な条件を講和条約に盛り込みます。それは日本の侵略で被害を受けた国に対して、賠償請求権を放棄させるというものでした。講和条約第14条にその内容があります。賠償請求権放棄は、アメリカにとっても使い勝手の良い日本を戦後復興させるためにも必要でした。経済発展させ工業国として利用し、再軍備させ、西側陣営に留めることが戦略上、重要だったわけです。当然、こうしたアメリカの講和条件は不評で連合国側の反発を買います。ソ連ポーランドチェコスロバキアは調印拒否。インドネシアビルマ(現在ミャンマー)は会議欠席。北朝鮮、韓国、中国は、会議に招待さえされませんでした。

 賠償請求権放棄という評判の悪い条件を、アメリカの根回しと圧力のお陰で大半の国に認めてもらうというこに日本は成功します。因みに正式に日本が賠償したのは、ビルマインドネシア、フィリピン、南ベトナムの四ヶ国だけです。韓国や中国には経済援助や技術協力の形で賠償問題を解決してもらっています。こうして日本は、アメリカの後ろ盾を活用しながら、アジアへの戦後賠償を軽くすませ、あるいは経済進出の足がかりにして、経済成長を成し遂げたというのが事実です。

 政府が「賠償問題は外交的に解決済み」という紋切り型の説明では、戦争被害を被ったアジアの人々には、とても納得がいくものではありません。事実、賠償金が当時の政府によって勝手に流用され、個人に支払われていないことも多々ありました。国家間の賠償問題は外交的に解決済みでも、個人の賠償請求権は生きている論法が、やはり正しいといえると思います。何故ならこの論法を日本政府も、ソ連の日本人のシベリア抑留の賠償問題で堂々と使用しています。二枚舌ですね。1991年になって日本政府は1956年の請求権放棄は国家間のもので、「国民個人からの請求権まで放棄したのではない」と正式にコメントしています。

これからの日本を考える時に来ている

 今の安倍政治は屈折したナショナリズムで成立しています。無理な要求をするアメリカに内心不満でも、その要求を承諾する。そのフラストレーションの状況に「日本の誇りをとりもどす」というナショナリズムを持ち出すやり方は、およそ賢明とは言えません。彼らは靖国参拝を繰り返し、歴史教科書を書き直し、侵略は無かったと言いはる。さらには、アメリカから押しつけられたとして自主憲法を作り、第9条を改正して、自衛隊を海外派遣できるようにするなどです。

 これでは、アジア諸国との関係はますます冷え込むばかりです。アジアの国からは、自分より強い相手(アメリカ)には文句が言えないから、弱そうな相手(アジア)に八つ当たりしてとしか見えないでしょう。保守政権のこの外交のスタンスでは、何も良い方向には変わりません。安倍政権になってこの悪循環のナショナリズム・スパイラルが加速しています。本来一方的な関係を正す相手は、アメリカのはずですから。

ブエノスアイレスで2018年11月30日に開かれた日米首脳会談では、トランプ米大統領が「日本はF35など大量の戦闘機を買ってくれており、われわれはそれを高く評価している」と謝意を表明。英語も理解できない安倍首相、上から目線のトランプ大統領。この構図自体が戦後のアメリカとの卑屈な関係の象徴のように思われます。

 まとめです。戦後の日本は、アメリカの方針に従いながら、アジアへの戦後賠償あるいは補償を安上がりにすませて経済成長してきました。アメリカ軍に基地を提供し、自衛隊を作って、アメリカのいうままに海外派遣を行うまでになりました。

 日本の戦後から現在までの在り方は、大雑把に言えばアメリカとの関係さえ良くして行けば、アジア諸国との関係は何とかなる。つまりアジア諸国との関係がマズくなればアメリカが何とかしてくれるという、近隣諸国のアジア軽視の、どこまで言ってもアメリカ頼みの、主権国家としての主体性なき政治だと言ってもいいでしょう。

 安倍政治にはアメリカとの従属的な関係を少しでも変えようとする、戦略も意志もありません。現状のまま、なしくずしに行くことを選択しているように思われます。アメリカの世界戦略に合わせて基地を提供し、自衛隊を拡充してくやり方です。しかし、このやり方では沖縄の負担は減ることはことはありません。「辺野古移転が唯一の選択肢」は詭弁です。沖縄に基地を集中させるかわりに、政府が公共投資で沖縄の不満をそらす。しかし、政府の財政赤字も増え続ける中で、沖縄に予算を潤沢に振り向けることもできなくなっています。このままでは行く付く先は見えています。沖縄に苦痛を押し付けるやり方では、もう沖縄が持ちません。

 安倍首相がよく口にする「戦後レジームからの脱却」は、皮肉にも現実は真逆の固定化の道にばく進しています。もともと言葉の定義も、その背景も理解できているとは思えない安倍首相ですから。ただ単にカッコよく言っているつもりなのでしょう。

 日本が取り得る選択肢は明白です。アメリカとの関係を見直し、アジア諸国、特に中国、韓国との新しい協調関係構築に踏み出す新しい政治が必要です。現在、沖縄の辺野古の是非を問う県民投票に一部の自治体が不参加を表明していますが、これこそ愚の骨頂だと思います。市民が基地の問題を主体的に意思表明する機会を奪う行為であり、県民投票はアメリカとの従属の関係を見直す一歩であり、本土の世論喚起で、アメリカとの関係の在り方の問う重要な機会であるはずです。市民が、国民が、政治を変えていくという政治参加の必要性が、今ほど必要とされている時はないでしょう。

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虹の会さんだニュース12月号

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