市民と野党をつなぐ三田の会ー虹の会さんだ

市民の力で、野党共闘を実現しよう。

市民の常識が通用しない政治の変質と改憲

安倍政権下での改憲論議の無意味さ

 自民党自衛隊の存在明記など4項目の憲法改正について、今の臨時国会での条文案提示を断念(11/28)。憲法審査会が自民党憲法改正推進本部の下村本部長の「野党は職場放棄」発言で、野党出席で開催できないことが背景にあるとメディアは伝えています。一見野党に配慮のように見えますが、悪法スカスカの財界要望の「入管法改正法案」を成立させたいがため。来年の通常国会でまた改憲を提案してくるのでしょう。

 野党が改憲のテーブルに着くことは、明らかに安倍自民を利することになります。また話し合いを拒否すれば政権与党はそれをネタにメディアを通じて野党批判を展開するでしょうし、ジレンマです。本来は話し合いは行われるべきですが、かみ合わない一方的な答弁終始の与党側では、話し合いの前提が崩れてしまっているのが現状です。これまでの安倍政権の一貫した数でのゴリ押しによる法案採決の手法は、改憲でも使われることは明らかです。安倍政権での国会の論議はまともな答弁を一切行わず、単に国会を法案を通すための手続き上の一機関と位置づけ、論戦の中身などはどうでもいいと言う姿勢に終始しています。民主主義的手法で法案は成立したという汚いアリバイ作りに過ぎず、立法府である国会の使命を意図的に形骸化させています。

 この状況の中で最大の問題は、主権者である国民の批判や疑問の声が大きくならないことです。その典型が今回の外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案の衆院本会議での強行採決。安倍政権の国会軽視が眼前でまたもや行われました。この強行採決東京新聞の望月記者が可笑しいのではないかと菅官房長官に疑問をぶっつけますが、菅官房長官の対応は高圧的かつ横柄で、質問の揚げ足取りで真面に質問に答えません。見ていて本当に不愉快になりますが、この光景は繰り返され続けています。さらに他の官邸記者連中の無抵抗の姿勢にも、今この国に起こっている統治機構の崩壊や主権者の感性の鈍化が、甚だしく進んでいることが窺えます。だから菅官房長官が、平然と国民に向かって侮辱的な開き直りができるのでしょう。

改憲の背景にある日米軍事一体化と突出する防衛費

 集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法の施行から2年7ヶ月。この間、自衛隊の新任務や能力の高い武器の拡大を通じ、日米の軍事的一体化と憲法9条に基づく「専守防衛」を逸脱する動きが進んでいます。北朝鮮が核・ミサイル開発を進めてきたことを理由に、安倍首相は「従来の延長線上ではない」防衛政策を提唱し、この傾向を一層推し進めています。

 安保法の新任務が初めて付与されたのは施行約半年後の16年11月で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加していた陸上自衛隊部隊への「駆け付け警護」。が、この時は現地の治安悪化で実施されず、自衛隊は撤退しました。

 新任務が初めて実施されたのは17年5月。海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が、日本近海で米補給艦に「武器等防護」を行ったものです。海自艦とわかれた米補給艦は、北朝鮮をけん制するため日本海に展開していた米空母艦隊に燃料を補給したとみられています。昨年後半には、航空自衛隊も日本周辺に飛来した米空軍の爆撃機に武器等防護を実施しました。

 武器等防護は有事ではないが情勢が緊張しているグレーゾーン事態に、自衛隊が米艦艇や航空機を警護する任務。第三国が米軍の活動を妨害した場合、武器を使って阻止でき、武力衝突に発展する危険もはらむものです。

 海自艦は昨年6月ごろ、安保法で新たに可能となった弾道ミサイル発射警戒中の米イージス艦への給油も日本海で実施。日米の任務一体化が進んでいます。

 自衛隊が新たに導入する武器も日米一体化の流れを反映しつつある。18年度予算には空自の最新鋭ステルスF35A戦闘機に搭載する「敵基地攻撃」も可能な射程500キロの巡航ミサイルの関連費用を盛り込まれました。射程は国内から北朝鮮本土に届き、専守防衛を逸脱していることは明らかです。

 今年末に改定する防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」では、護衛艦「いずも」を戦闘機の発着が可能な空母に改修する計画も検討されています。改修後は、日米両国の戦闘機が共同運用する案も取り沙汰されています。艦載機には短距離離陸・垂直着陸が可能な米国製のステルス戦闘機F35Bを検討。敵国を攻撃できうる能力を備え、専守防衛を超えると指摘されています。

 一方、防衛費でも第2次安倍政権の誕生以来、13年から連続して前年度を上回っています。19年度の概算要求では5兆2,986億円となり、増大に歯止めがかかりません。総額もさることながら、問題は予算の中身です。トランプ大統領の言うままに、積極的に米国の高額兵器を購入し続けています。

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 典型が地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の購入です。費用は取得費と30年間の維持費を含め、防衛省が2基で約4,500億円と公表しています。ただ、システムを格納する建屋や迎撃ミサイルの費用は含まておらず、さらに、搭載するレーダーを巡り「高額の射撃試験が必要になる」との指摘もあります。今後、ミサイル費用を含めると総額で6,000億円を超す可能性もあります。

 安倍政権が「イージス・アショア」の配備候補地に挙げるのは、陸自の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)。ともに安倍首相と菅官房長官の出身地とは皮肉ですが…。北朝鮮から秋田、山口に向かう延長線上には、それぞれ米軍基地のあるハワイとグアムが位置します。つまり米国の防衛を実質、日本が担うことになるわけで、防衛省もその可能性を否定していませし、ハリー・ハリス米太平洋軍司令官(当時)も米連邦議会で同様の証言をしています。東京新聞 2018年11月16日 朝刊)

 安保法での新任務や米国製高額武器購入で日米の軍事一体化は、このまま進めば日本が米国の防衛の一翼を担わされることになり、日本が軍事衝突に巻き込まれる危険性や財政的負担が深刻になることを意味しています。

トランプ盲従で高額武器調達に不利なFMS契約を多用

 東京新聞で〈税を追う〉という企画をシリーズで掲載しています。以下その内容を要約してお伝えします。2019年度予算の防衛費の概算要求額が5年連続で過去最大を更新しましたが、その最大要因はFMS(対外有償軍事援助)による高額な武器購入にあります。購入費は安倍政権下で高止まりが続き、今回さらに跳ね上がっています。安倍首相の米国従属外交で今後もトランプ大統領の要求で、さらに増える懸念が充分あります。FMS(Foreign Military Sales)では、日本が米政府から武器を直接調達する際に多く適用される制度ですが、米政府は契約価格や納入期限に拘束されず、一方的な変更が可能で、不透明な価格高騰などの問題が指摘されています。代表例は米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」や輸送機オスプレイ、F35Aステルス戦闘機、早期警戒機E2Dなどの購入ですが、米国が求めるままの爆買いに他なりません。

 FMS契約はローンです。この契約は民主党政権下でもありましたが、安倍政権で激増しています。19年度は支払時期を迎えた「歳出化経費」が2兆708億円となり、総額の4割を占め、人件・糧食費の2兆1,908億円と合わせると、要求額の8割が固定的な経費で占められるところまできています。

 こんな中、装備品支払の延期を防衛省が国内企業に要請していることが報じられました。防衛省が11月初め、国内の防衛関連企業62社に対し、19年度に納品を受ける防衛装備品代金の支払いを2~4年延期してほしいと要請していました。高額な米国製兵器の輸入拡大で「後年度負担」と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増。国内企業に「返済猶予」を求めるという異例の事態となっています。安倍政権で米政府を窓口にしたFMSによる兵器の輸入が進み、毎年返済額を超える新たな兵器ローンが発生。今回の支払い延期要請につながったとみられます。防衛省は追加発注で、返済先送りではないとしていますが、どうみても返済延期です。

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米製兵器維持費2兆7,000億円、FMSの代償は将来も続く

 防衛省が米国政府のFMS(対外有償軍事援助)を利用して導入、あるいは導入を予定している戦闘機「F35A」など5種の兵器だけで、廃棄までの20~30年間の維持整備費が何と2兆7千億円を超えることが同省の試算で判明しました。同省は19年度のFMSによる維持整備費に1,075億円を見込んでいるが、F35Aなどの本格的な配備はこれからで、将来的に年間の維持整備費が大幅に増え、防衛予算を圧迫していきます。

 日本などの同盟国がFMSを利用して米国から兵器を購入する際、米国政府は最新技術の流出を避けるため、秘匿性が高い部分の修理整備はFMSに基づき、製造元の米国メーカーが行うことを求めています。購入国は兵器を廃棄するまで、維持整備費を米国政府に払い続けることになります。

 防衛省の試算によると、42機導入するF35Aの場合、機体の購入費(計5,965億円)に加え、米国政府などに支払う維持整備費に30年間で約1兆2,800億円を見込んでいます。このほか購入費が高い▶輸送機オスプレイ(17機)▶無人警戒機グローバルホーク(3機)▶早期警戒機E2D(6機)▶地上配備型迎撃システム・イージス・アショア(2基)は、20~30年間の維持整備費計約1兆4,300億円がかかると言われています。既に配備されているのはF35Aの9機だけで、配備が進むごとに維持整備費は大きく膨らむ。

 日本側が維持整備の一部を請け負う場合もありますが、米国から兵器を導入すると整備や技術指導を担う米国の技術者らが日本に滞在することになり、その渡航費や人件費は日本側が「技術支援費」として支払います。米国から取り寄せる部品も高額なため、輸入兵器の維持整備費は、国内で調達するより割高にります。

 そんな折り、安倍政権はF35A戦闘機をさらに100機追加購入する意向というニュースが流れ、おまけに確定でもないこのニュースにトランプ大統領が謝意を表したというバカなおまけも付きました。安倍首相は『敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないでは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい』という考えだと言われ、それが専守防衛を超えた攻撃型兵器購入に邁進させており、日本の平和にとって首相の独断専行は極めて無謀で危険です。

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憲法改悪の安倍政治で問われる市民の力量

 ここ数年で長年にわたって維持されてきた政治的な前提(戦争は二度としない、憲法9条を守る、民主主義の大切さなど)が次々と覆され、日本の政治の様相が一変してきたことを私たち市民は目撃してきました。それは2014年の安倍政権による集団的自衛権閣議決定という、憲法違反の解釈改憲を行った事実からはじまります。特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪法が立て続けに成立し、憲法はこの変質した政治に翻弄されてきました。これまで曲折はありながらもバランスのとれた常識で市民(意識、無意識は関係なく)が守ってきた憲法を、変質した政治がいとも簡単に乗り越えていく光景でした。

 一方で政治がこれほど異様に変質・劣化しているのに、社会に暮らす私たち市民の意識はこの変化のスピードについて行っていません。その証拠に安倍政権の支持率は高止まりしています。あるいは諦めの層が増えているのも気がかりです。この状況はすこぶる危機的です。

 ブログ冒頭で安倍政権の改憲論議にのる必要なしと述べたの理由はもう一つ。それは戦後70年の歴史の中で、9条の存在が日本の平和を守ってきたという市民の確固としたアイデンティティがあるという事実です。戦争の災禍を日本国民は誰もが知っています。その歴史的事実を軽視して、日本の進路の歴史的転換になるはずの改憲がいかにもフワッとして軽い。安倍首相の個人的な野心のために、変えることが目的化した憲法論議は意味がないということです。自身が憲法を軽んじ破っておきながら、図々しく改憲を唱えるなどありえない振る舞いです。さらに政権与党の政治家のレベルの低劣さも含めて、この「たがが外れた」政権と真面な論議ができるとは到底思えません。

 9条に自衛隊を明記するだけというウソは明白。軍事優先の米国追随の政治の証拠は、膨張する防衛費を見ても明らかです。安倍政権に国民の暮らしや平和を守る意識などあろう筈がありません。

 政治が憲法に従ってなされるという立憲主義は、統治に関わる機関の協同なしには確保されません。内閣の権限行使が適正であることを、国会や裁判所が適切にコントロールしなければなりません。そのためには私たち市民の支えが必要です。立憲主義や民主主義を守り、育てるのは市民です。「憲法の危機」の今こそ市民の力量が問われています。諦めることなく、政治に関わっていく覚悟が必要です。安倍政治を終わりにするために私たち市民は選挙で野党共闘候補を応援し、与党を少数に追いやることが必要です。一緒に頑張りましょう!

※上記の内容は憲法学者学習院大学教授の青井未帆氏の論考を参考に、つたない筆者なりの理解力でまとめたものです。参考にしたWEBをリンクしておきます。

 

https://s3-us-west-2.amazonaws.com/jnpc-prd-public-oregon/files/2018/07/47a19241-130b-4e64-9295-30bf23927d6f.pdf

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