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「あなたに答える必要はない」ー 安倍政権の本質

言論弾圧を公然と行う安倍政権の驕り

 官邸記者会見の菅官房長官の答弁と、上村室長の東京新聞の望月記者への醜い質問妨害が続いています。内閣記者クラブが注目を浴びた最大要因は、ひとえに望月記者の貢献度が大きい。従来の政権側の垂れ流し広報に堕していた記者会見が、理不尽な政策を一方的に進める安倍政権にその見解をただすという一番国民が知りたがって事を、望月記者が代弁し圧力と妨害に抗しながら質問してくれています。

 ところが、2月26日の会見で飛び出した「あなたに答える必要はない」という、明らかな菅長官の暴言は、望月記者への威圧と同時に国民に対して発せられたものと言うべきものです。政権に逆らう、意に沿わないものには圧力をかけ、排除するという政権の本質を露わにしたもので、見過ごすことはできません。これは2017年7月の安倍首相の都議選最終演説の「安倍辞めろコール」のヤジに対して、「こんな人たちに負けるわけにいかない」と安倍首相が言ったことと同質で、「俺様にたてつく奴は黙れ」という民主主義破壊の脅しに他なりません。

 東京新聞の望月記者と菅長官のやり取りに関して、官邸側は東京新聞に抗議の申入れを執拗に送っています。この経緯は後で触れますが、この陰湿な圧力は安倍政権の体質そのもので、記者会見で記者の質問に問題や誤解があるというなら、その場で指摘すれば済む筈なのに官房長官はしない。それどころか、はぐらかしや一方的に質問を打ち切る場面が多々あります。申入れの中身は「事実誤認※」の質問で、視聴者に誤解を与えるというもので、この点の記者会と官邸の問題意識の共有が必要などときれい事をいっていますが、本質は圧力です。圧力は安倍政権の十八番ですので。※事実誤認とは辺野古埋め立ての土砂に赤土が大量に混じっており、沖縄県が問題だとしていることを指していますが、業者任せの古い検査報告書で問題なしとしています。

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会見では木で鼻をくくった答弁と脅しを繰り返す菅官房長官、質問妨害の上村官邸報道室長と記者会見の在り方を問い直した東京新聞・望月記者。記者会の唯々諾々として政権側に従う弱腰が最大の問題であり、完全に舐められているとしか言いようがありません。

東京新聞記者のやりとりで分かる政権側の無理筋

 菅義偉官房長官東京新聞記者による「回答拒否」の26日の記者会見でのやりとり。
 【午前】
 記者 上村(秀紀首相官邸報道)室長の質問妨害について聞く。1月の(自身の)質疑で1分半の間に7回妨害があった。極めて不平等だ。妨害が毎回、ネットで拡散されることが政府にとってマイナスだと思っていないのか。
 長官 妨害していることはあり得ない。記者の質問の権利を制限することを意図したものでは全くない。会見は政府の公式見解を(記者の)皆さんに質問いただく中で国民に伝えることが基本だ。だから経緯(の説明)ではなく、質問にしっかり移ってほしいということだ。
 記者 妨害ではないというのは事実誤認ではないか。非常に違和感がある。政府が主張する事実と取材する側の事実認識が違うことはあって当然だ。今後も政府の言う事実こそが事実だという認識で、抗議文をわが社だけでなく他のメディアにも送るつもりか。
 長官 事実と違う発言をした社のみだ。

【午後】
 記者 午前中は「抗議は事実と違う発言をした社のみ」とのことだったが、東京新聞首相官邸が出した)抗議文には表現の自由(にかかわる内容)に及ぶものが多数あった。わが社以外にもこのような要請をしたことがあるのか。今後も抗議文を出し続けるつもりか。
 長官 この場所は質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではない。明確に断っておく。「会見の場で長官に意見を述べるのは当社の方針でない」。東京新聞からそのような回答がある。
 記者 会見は政府のためでもメディアのためでもなく、国民の知る権利に応えるためにある。長官は一体何のための場だと思っているのか。
 長官 あなたに答える必要はない。時事ドットコムニュース 2019/02/27-16:59)

  以上が菅官房長官東京新聞・望月記者の質問に対して語った発言です。菅氏の威圧的な姿勢(=強権安倍政権)が、遺憾なく発揮されている記者会見です。記者会見は政府の公式見解を述べる場であり、質問を受けるが意見を言う場ではないという主張は全くもって聞く側には理解できません。

 意見を含まず質問せよなど、生の記者会見では不可能です。安倍政権の矛盾や公平性や妥当性を欠く政策について、問題や疑念をぶつけるのは記者として当然です。官邸側の主張は理不尽で言論の報道の自由言論の自由を奪うもので許せません。記者の質問は、最も国民が聞きたい知りたいところであり、だからこそ多くの支持を得ています。

「あなたに答える必要はない」の発言は2月26日午後の部の動画後半にあります。27日の動画ではさすがに他社新聞記者も「あなたに答える必要はない」の菅官房長官発言を問題視しています。

発言取消し否定の菅官房長官の異様な傲慢

 菅義偉官房長官は2月27日の記者会見で、東京新聞記者が26日に会見の意義などについて質問したのに対して「あなたに答える必要はありません」と述べたことについて、撤回や修正の考えはないと明言しています。
 発言は、東京新聞記者が26日午後の会見で、「この会見を一体何のための場だと思っているのか」と質問した際の回答。菅氏は27日の記者会見で発言の趣旨を問われ、「私はこれまで国会や記者会見の場で累次に渡って、官房長官記者会見は記者からの質問に対し政府の見解、立場を答える場であると述べてきた」と強調。しかし、質問と見解・意見の差異を区別することにこだわるのは政府側の屁理屈で、しかも形式的とは言え、記者会が記者会見を主催してる訳ですから、記者側が政府の矛盾点を追及するのは当然と言えます。さらに言うなら、官邸側の上村氏が司会をすること自体も変です。
 しかし、菅長官は「あなた」と質問者を特定したうえで、答えを拒否しています。記者に圧力をかけていることは明らかなのに、それには答えず逃げています。東京新聞・望月記者の質問に手を焼いていることと、動画が政府自身がネット配信しているというジレンマが見てとれます。国民にとっては安倍政権の悪辣振りが「生」で知り得る官房長官記者会見は、これからも監視続ける必要があります。

真っ当な東京新聞の検証と見解

 東京新聞はこれまで9回にわたる官邸側から申し入れがあったことを明らかにし、新聞紙上で公開の反証記事を掲載しています。 発端は辺野古埋め立てへの赤土投入の疑惑を、望月記者が質問したことに始まります。

 官邸側の抗議内容は2点。1. 沖縄防衛局は埋め立て土砂は仕様通りと確認済み  2. 琉球セメントは県の立入検査を受けており「事実と反する」との抗議らしい。しかし、検査報告書は16年と17年に沖縄セメントが業者に依頼したものを提出したもので、防衛局自ら行ってはいません。沖縄県は立入調査やサンプル提供を求めていますが、国側は拒否し続けています。要は検査が古く、防衛局は業者任せで何もやってないのに、事実誤認とわめき立てています。

 抗議は「事実に基づかない質問は謹んでほしい」から、さらに飛躍して「記者会見は意見や官房長官に要請する場ではない」として、質問や表現の自由の制限まで及んでいます。意見や要請の解釈は、官邸側の勝手で恣意的にいくらでも変えられるもので、勝手なご都合主義と言わざるを得ません。

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官邸の上村名で内閣記者会への申入れ文書。中身は東京新聞記者排除の意図がありあり。この抗議文はさすがに生ぬるい記者会も受け取りを拒否したようですが。

 さらに驚くのは、度重なる抗議の中で望月記者の森友疑惑での「記者は国民の代表として質問に臨んでいる」の発言を捉えて、子供じみた反論を行っています。「国民の代表とは選挙で選ばれた国会議員。貴社は民間企業であり、会見に出る記者は貴社内の人事で定められている」、「国民の代表である根拠を示せ」と。ウソと隠ぺいの安倍政権とその同調国会議員に真実を求めることなど、できるはずがありません。メディアが本来の国民の知る権利の代行をしているわけで、その意味では明白に国民の代表であるはずです。以下東京新聞の反論の記事です。

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東京新聞による時系列の9回に及ぶ官邸申入れ内容。赤アンダーラインは国民の代表の根拠を示せと官邸の長谷川内閣報道官名で抗議。この人物は上村氏の上司。菅長官ー長谷川報道官ー上村報道室長のラインでつながっています。

「知る権利」を奪う、国民全体に向けられた課題

  今回の問題で突きつけられたものは、報道の自由や国民の知る権利を、安倍政権はいとも簡単に躊躇なく奪うということです。安倍政権は明らかにここに来て言論統制を狙ってきています。現実にテレビはもちろん新聞も政権批判には既に及び腰です。

 安倍政権の東京新聞と望月記者への圧力は、民意無視の沖縄・辺野古新基地建設に繋がり、最終的には国民の権利や自由の制限に行き着きます。秘密保護法や共謀罪、盗聴法、戦争法の安保法まで作り、憲法改正を企み、平和と民主主義を脅かしています。国民は大人しく忘れやすいと高をくくっています。目の前の繰り返される安倍政権の横暴をこのまま許せば、どうなるかは明らかです。だからこそ、重大な問題を背景に持つ今回の安倍政権の言論弾圧を許さず、撤回させなければなりません。

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