市民と野党をつなぐ三田の会ー虹の会さんだ

市民の力で、野党共闘を実現しよう。

安倍三選の意味するものと沖縄知事選

自民党の総裁選の異常さ

 安倍三選で明白になったことは、安倍の政治手法は恐怖政治の段階に至ってきたと言う事実です。下記で述べるようにメディアや石破氏支持勢力への恫喝が公然と行われました。安倍政権が長期化する中で、行政、議会、司法といったあらゆる統治機構が機能不全を起こし、同じ政党内でも政敵は許さないという暴力的な圧力が横行しました。

 自民党の総裁選は、西日本豪雨の被災者そっちのけでの安倍の支持者抱き込みの〝赤坂自民亭〟のドンチャン騒ぎに始まり、東方経済フォーラムでプーチン北方領土返還の前提無しという突然の平和条約締結の提案にバカにされながら、ニタニタするだけで反論すらできない始末でした。外交の安倍は看板倒れで、しかも中国の習近平主席の前で日本の首相が「裸の王様」であることを露呈しました。この安倍の首相としての資質を疑わせるに充分すぎる映像が、メディアを通じて全世界に配信されました。

f:id:rainbowsanda170422:20180924202759j:plain

東方経済フォーラムの全体会合に臨む安倍首相、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領=ロシア・ウラジオストク・2018年9月12日。後にプーチンに抗議したと言う安倍首相だが、ロシアの報道官はこれを否定。またもやウソ!

 一方、自民党は総裁選の「公平・公正」な報道を求める文書を8月28日付けで新聞・通信各社に出しています。権力批判はメディアの使命であり、あからさまな圧力です。さらには対抗馬の石破氏支持者にも脅しをかけています。石破派の斎藤農水相「安倍応援団の一人に『石破さんを応援するんだったら辞表を書いてからやれ』と言われたと。安倍応援団は完全に親衛隊であり、安倍の威光を背景に何でもやりたい放題。しかも世論を恐れずそれをかなり堂々と行っています。自派の細田派議員には安倍支持の誓約書まで書かせています。裏を返せばそこまでしなければ、安倍は安心できない、独裁者の心理状態の表れと見ることができます。

f:id:rainbowsanda170422:20180924201837j:plain

総裁選の選挙対策本部の発足式で高市早苗氏の音頭でエールを送られ、笑顔を見せる安首=9月3日、東京都千代田区。見返りを期待して身びいきの政治私物化の政権に群がる議員の先生たち。

 9月6日の北海道胆振(いぶり)東部地震では北海道全域でブラックアウトが発生し、政府の災害に対する対策が不十分であることが明白になりました。その影響で総裁選のスケジュールも影響を受けましたが、安倍の論理破綻やウソ、支離滅裂さを国民の目に焼き付けるのにある程度有効だったと思います。大事なのは有権者がこのまま自公安倍政権を継続させることは、あらゆる分野で日本の衰退が加速し、自分たちの命や暮らしを危険に晒す事につながり得るということを理解すべきです。

 リンクしたHPは日本記者クラブでの安倍の問題発言とうっかり本音発言、論理すり替えの様子です。良かったら動画もどうぞ。例えば、●拉致問題→「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言った事はございません」●アベノミクス→「トリクルダウンなんて言った事はない」●森・加計疑惑→「私の妻や友人がかかわってきたことは事実」など。ただメディアがこの安倍の発言を問題視して追及せず、スルーの姿勢に強い危機感を覚えます。おまけは職務権限の質問に「ゴルフに偏見???」や報道ステーションで「目が泳ぐ安倍・・・」。安倍の無知や本質がよく見て取れる動画です。

 拉致問題以外の総裁選での安倍の珍言が分かりやすくまとめられているものもありましたのでご紹介。安倍の支離滅裂な言動と論点すり替えがよくわかります。ついでに昭恵夫人の総裁選の勝利のコメントもありますが、「安倍は世界の、日本のリーダーとか述べる一方で、国民に尽くしていることを認められた」などの理解しがたい森友疑惑の張本人の呆れる意味不明発言です。総裁選は政党の党首選であり、国民が信任したわけでは決してありません。

 

国民の大多数が望まない憲法改正

 安倍は秋の臨時国会自民党改憲案提出を目論んでいます。朝日新聞の9月8、9日両日の世論調査では、自衛隊の明記などを盛り込んだ自民党改憲案の国会提出の賛否は、「反対」49%が「賛成」32%を上回っています。総裁選で争点として一番議論してほしいテーマ(6択)でも、「憲法改正」は8%と最も低いものでした。が、内閣支持率はアップ。有権者の安倍政権の公文書捏造や森友・加計疑惑の政治私物化の事実を前にしても支持率の判断ではそれが反映しないという、日本人特有の政治に対する曖昧さが安倍政権の延命を許しています。

f:id:rainbowsanda170422:20180925001812j:plain共同通信社の20、21両日、自民党総裁選での安倍晋三首相の連続3選を踏まえて実施した全国緊急電話世論調査では、首相が秋の臨時国会に党憲法改正案の提出を目指していることに「反対」とする回答は51.0%、賛成は35.7%でい今憲法改正には多くの国民が疑問を抱いています。

 今なぜ憲法改正か。世論調査に見られるように国民は少子高齢化や所得アップなど生活に直結する政策を望んでいますが、安倍政権は違います。9条については、時代錯誤の国家主義を標榜する極右組織日本会議に支えられる安倍政権下では、絶対に行わせてはなりません。集団的自衛権容認で、世界中で戦争を繰り返す米国に協力して自衛隊を戦争に送り込むなど愚の骨頂。そもそも安倍の9条改正の国民への説明は雑ぱくで情緒論に終始しています。先の党首選の自衛官の子供の「お父さん、憲法違反なの?」という安倍のデタラメの作り話は最低です。国民を愚弄したもので許しがたい発言です。

  米国の要求には何でも従う、例えそれが戦争加担でも。米国への自発的従属が日本の政権(自民党政治家と高級官僚)に継続と保身のお墨付きを与えるという、異常な日本の政治体質。それを証明するものは先の民主党の鳩山政権崩壊の経緯です。

 鳩山政権は沖縄の世界一危険な普天間飛行場を鹿児島県・徳之島に移設を目指しますが、外務省官僚・防衛官僚の抵抗にあって崩壊。秘密裏に進めようとしたこの件は、先の高級官僚のマスコミへのリークで大騒ぎとなりました。冷静に考えれば鳩山政権の普天間の「県外もしくは国外へ」の主張は正論のはずが、当時の世論はそうはならなかった。メディアの鳩山政権叩きで世論もそれに同調、政権崩壊に結果手を貸すことに。この事実は2011年5月のウィキリークスの機密情報暴露で裏付けられています。

 その内容は「確かな証拠(ハードプルーフ)」というアメリカ政府の公文書の中で、日本の外務・防衛の高級官僚がアメリカ側のカート・キャンベル国務次官補に語った驚くべき内容です。

●「(民主党政権の要求に対して)早期に柔軟さを見せるべきではない」(高見澤將林防衛相防衛政策局長・現軍縮会議日本政府代表部大使 核保有国抜の核兵器禁止条約は実効性がないの国連での主張や核禁止条約への言及懸念で高校生平和大使演説見送りを指導した人物)

●「(民主党の考え方は)馬鹿(stupid)げたもので、(いずれ)学ぶことになるだろう(they will learn)」(齋木昭隆・外務省アジア大洋州局長・外務事務次官で退官)※矢部宏治著 日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのかより

f:id:rainbowsanda170422:20180927050912j:plain

左:高見澤將林防衛相防衛政策局長・核保有国抜の核兵器禁止条約は実効性がないの国連での主張や核禁止条約への言及懸念で高校生平和大使演説見送りを指導した人物 右:齋木昭隆・stupidとはひどい表現で、愚か、間抜け、馬鹿馬鹿しいなどの意味がある。本来米国から日本の権利を取り戻す面従腹背の対米従属がいつの間にか「目的化」している事態に陥っています。

 米国への自発的従属の安倍政権の憲法改正は、これまでの強行採決の安保法制に名実ともにお墨付きを与えるものです。自衛隊員の生命を危険に晒すもので、保身と名誉欲の安倍自身の身勝手な憲法改正の主張を、決して許してはなりません。現実に南スーダンPKO(国連平和維持活動)で2016年5~12月に派遣された陸上自衛隊の部隊で、隊員の6人に1人が精神的不安(不眠)を訴え、南スーダンから帰国した現職自衛官のうち、これまでに2人の自殺者が出ています。9条は自衛隊員の命を守るよりどころのはずです。安倍改憲には緊急事態条項の危険な条文もセットです。国民の権利を奪い、国民を危険に晒す安倍政権下の改憲は、到底容認できません。 

 蛇足ですが安倍の総裁三選で、内閣改造で入閣が噂されている政治家が安倍御用達のメディアで勝手な事を喋り出しています。喉元過ぎれば何とやらで、見識や良心など持たない政治家がゾロゾロと安倍政権に群がり、政治権力を国民のためではなく、私利私欲のために利用するという、醜態が繰り返されようとしています。安倍政権に蔓延するネポティズムという縁故主義(nepotism)からファシズムへ変容する我が国の政治を、国民は黙って見過ごしていいのか。政治の有り様は直接国民生活に影響を及ぼすことを、もっと真剣に考えるべきで、その時期を逸すれば取り返しの付かない事態となります。

 

 沖縄知事選は強権安倍政治阻止の民主主義勝利の戦い

 沖縄は一方的に米軍基地を押し付けられ、その負担を今日まで強いられ続けています。基地がある故の事故・事件は言うに及ばず、日常的な米軍機の住宅地上空の危険な低空飛行(米軍住宅地の上空は飛行禁止)や騒音が繰り返され、生活や生命が脅かされ

f:id:rainbowsanda170422:20180929134005j:plain

沖縄防衛局調査の軍用ヘリが2011年8月に行った旋回訓練の航跡図。左右の太い線は海岸線で、中央部分の航跡がないところが米軍住宅エリア。片や日本人が生活する住宅密集地は航跡がビッシリ。日本人の安全には米軍は配慮の必要がないのです。

ています。基地による環境汚染も無視できません。憲法に保障される基本的人権さえも守られていない。事故や事件に見る日本の法律が及ばない沖縄の光景を、私たちは報道で目にしているはずです。航空機事故や米軍関係者の犯罪にも、日本の警察は手出しができません。治外法権が堂々と行われる現実は何なのでしょう。日米安保条約に基づいて在日米軍のさまざまな特権(不平等条約)を認めた日米地位協定の抜本的見直しが必要なのに、安倍政権はその声さえも上げません。一般解釈では憲法最高法規のはずが、現実は米軍基地に関しては無力です。司法は安全保障の分野の判断を回避します。(※1959年の米軍基地存在の憲法判断の最高裁での砂川裁判。最高裁長官の田中耕太郎が日米安保条約のような高度な政治的問題には、憲法判断をしないという判決を出し、これが判例として確定。いわゆる統治行為論と呼ばれる無責任判決で、米国との約束の安保法体系が憲法より格上という独立国としてあり得ない法体系です。)

f:id:rainbowsanda170422:20180929105914j:plain

左:砂川判決以降の法体系 右:憲法98条2項にもとづく一般解釈。米国のいいなりの判決を出した砂川判決は日本国民より米国の日本での治外法権を認めたに等しいもので、沖縄であるいは基地を抱える本土で地域住民に苦しみを与えています。

 この判決で憲法より日米安全保障条約が上位にあるという異常な事態が、今日まで続いています。国民の生活や生命を脅かす事態に、司法の正義が機能しないで安倍政権のような堕落した政治に判断を任せれば、何が起きるか国民ははっきり自覚すべきです。その矛盾が未だに沖縄に加重に押し付けられているわけで、故翁長知事はその不平等性を本土の私たちに訴え続けてきたのです。このブログの読者は当然この基地負担の理不尽さは理解されてるでしょうが、多くの国民は無関心です。むしろ悪質なデマや誤解が刷り込まれている現実があります。例えば沖縄経済は基地に依存?沖縄振興予算があるから基地負担は当然?普天間基地周辺に住人が勝手に住んだ?すべてフェイクです。

 沖縄に戦後の苦難を強いてきたのは、本土の側の論理を優先させた結果です。本土の主権回復は1952年ですが、沖縄復帰は許されませんでした。沖縄復帰が実現するのはは1972年、本土に遅れること20年です。27年間の米国統治によって、基地依存型経済を強いられ、復帰後の沖縄は本土よりも戦後復興が遅れました。その格差是正のためにインフラ整備のための沖縄振興予算が投入されたわけで、基地負担の見返りという主張は全く的外れです。今や自立型経済の確立に向けた各種施策で、観光産業は2017年度の入域客数が過去最高の939万人を記録、主要産業に成長しました。沖縄は近隣のアジア諸国の成長力を取り込んだ人や物、情報の交流拠点として沖縄県経済は新たな可能性が期待されています。

 一方本土との所得の格差は、依然として大きいものがあります。1人当たり県民所得は復帰以降、全国最下位にとどまっている。復帰の年に44万円で全国の59.5%の水準だった県民所得は復帰後に差を縮めたものの、90年代以降は全国平均の6~7割程度で推移。故翁長知事が取り組んだ沖縄社会の貧困や格差の是正は道半ばです。これはひとえに米軍基地固定化を推し進めた歴代政権と妄信的な米国従属を目的化し、「辺野古が唯一の解決策」として新基地建設を押し付け、補助金釣りで沖縄県民の分断と対立を図る安倍政権の卑怯で姑息な政策に大きな責任があります。

f:id:rainbowsanda170422:20180929155312j:plain

 沖縄知事選挙は何度も繰り返しますが、 オール沖縄・全国反安倍民主勢力×ファッショ安倍政権との戦いです。トランプ土下座外交に象徴される米国従属の安倍外交で、安全保障の矛盾が沖縄に集中しています。沖縄を犠牲にして辺野古新基地を許す愚を犯してはなりません。普天間即閉鎖・返還であり、辺野古埋め立て阻止が大前提であり、補助金という醜い釣りで沖縄県民を愚弄する安倍政権とそれに加担する政治勢力は、沖縄の基地負担をこの先も固定化することを本音では認めています。沖縄の苦渋は安倍政権では和らぐ事はありません。沖縄は日本国です。

「戦後の国体」にとって、沖縄とは、「構成的外部」である。すなわち、戦後日本(本土)で「平和と繁栄」が成り立つために、単にそこから排除されただけでなく、その排除によって「平和と繁栄」が可能になった、そのような場所である。

 敗戦後、「国体護持」(天皇制の存続)を実現するためには、非武装の「平和国家」に大転身する必要があった。他方で、天皇制の宿敵たる共産主義の脅威に対抗するためには、日米安保条約による米軍の駐留継続が求められた。

 ここに大矛盾が発生する。すなわち、戦後日本は「絶対に戦争しない国」であらねばならないのと同時に、「いつも戦争している国」の戦争遂行のきわめて重要な助力者となった。この矛盾の解消=隠蔽(いんぺい)を図る場所として指定されたのが、サンフランシスコ講和条約によって「日本でもなければアメリカでもない」場所にされてしまった沖縄だった。

 米軍による沖縄占領の長期継続を望む、という昭和天皇の「沖縄メッセージ」(1947年・マッカーサー元帥宛て)は、この論理の核心をまさに物語るものだ。

www.archives.pref.okinawa.jp

 翁長雄志県政をもたらした「オール沖縄」の形成とは、この役回りを沖縄はもう引き受けないという意志の表れだった。

 選挙結果がどういうものになるにせよ、沖縄の有権者が下す決断は「苦渋の決断」である。要は、「カネを採るのか、誇りを採るのか?」である。筆者が、本土の日本人のひとりとして強調せねばならないと感じるのは、このような選択を沖縄に強いているのは、ほかならぬわれわれだ、という事実である。

 翁長県政に対して安倍政権がやったことは、手段を選ばぬ司法介入であり、デマの流布であり、そして兵糧攻め交付金の減額)だった。そのような振る舞いをする政権を、われわれがつくっているのである。(赤字はWEBRONZA 白井聡「平成最後の自民党総裁選が意味するもの」より転載)

◎虹の会さんだNEWS vol.14のご購読もよろしく

f:id:rainbowsanda170422:20180930020737j:plain

f:id:rainbowsanda170422:20180930020752j:plain