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変異型ウイルスの脅威と第5波への不安

 都市部で猛威を振るう変型ウイルスはいまや全国に感染拡大しています。日々変わる情報ですが、なるべく網羅的、俯瞰的にその情報を分かりやすく書き留めておきます。現在有効な対策はワクチンと言われていますが、日本の接種率は先進国と比べ大きく出遅れています。さらにオリンピック開催に固執する政府、東京都の対応がさらに感染阻止を困難にしています。

重症者の増加「第3波」の3倍

 4月16日付けの東京新聞の記事ですが、新型ウイルス感染状況の傾向はつかめます。新型コロナウイルスによる重症者が大阪府兵庫県で急増しています。両府県では、変異株への感染者が推計で全体の約9割を占めています。5月半ばには、全国の大都市圏で大阪同様に変異株が感染者全体の9割に達すると予想されています。
 大阪府では3月以降、1週間の新規感染者が毎週、1.5~2.3倍のペースで増えています。直近の4月7~13日は、1日平均の人口10万人当たりの新規感染者は約71人。東京都の3倍近い多さです。

新型コロナウイルスの重症患者が治療を受けている『レッドゾーン』の緊迫した医療現場の実態。4月28日に取材をさせていただいたのは京都府宇治市の「宇治徳洲会病院」。新型コロナウイルス患者の病床を最大12床備えていて、特に重症患者の入院・治療にあたっています。

 重症者も「第3波」の約3倍の速さで増えている。変異株の重症者は発症してから平均6.5日で重症化しており、「第3波」の平均8日より短いと言われています。

f:id:rainbowsanda170422:20210508160217j:plainさらにその変異株(ウイルス)感染の内訳グラフを見ると、全国の変異株感染者総数のうちN501Yの感染者数が激増しています。N501Y(英国株)は、感染者1人が何人にうつすかの「実効再生産数」は従来株と比べ1.32倍と感染力が強い国立感染症研究所は発表しています。
N501Y(英国株)とは
このウイルスは「スパイクたんぱく質」と呼ばれる部分の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に置き換わり、スパイクたんぱく質が人の細胞と結合しやすくなっています。
E484K(ブラジル株・南アフリカ株)とは
このウイルスは「スパイクたんぱく質」と呼ばれる部分の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に置き換わったものですが、N501Yの変異も併せ持っています。
変異はなぜ生まれるのか

f:id:rainbowsanda170422:20210509060818j:plain 新型コロナウイルスは人の細胞に入り込み、遺伝物質のRNAをコピーさせて増殖する際、一定の割合でコピーミスを起こします。このミスによる変化で、変異株ウイルスが生まれます。詳細は下記の新型コロナウイルス変異の仕組みを参照してください。

 

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懸念すべき変異型ウイルス

 新型コロナウイルスの変異ウイルスについて、WHOが「懸念すべき変異株(=ウイルス)」にとして3つの変異ウイルスを指定しています。①N501Y イギリスで最初に見つかった変異ウイルス②N501Y・E484Kの2つの変異 南アフリカで見つかった変異ウイルス③N501Y・E484Kの2つの変異 ブラジルで広がった変異ウイルスです。②③は変異は同じですが、感染の症状は異なるようです。国内の感染拡大は圧倒的に英国株のN501Yによるものです。
 インドで爆発的な感染拡大をもたらしている変異ウイルスE484QとL452Rという2つの変異を合わせ持ったウイルス)をWHOは「注目すべき変異株」に新たに指定しました。世界中への感染拡大が懸念されています。現在国内でも既にインド変異株感染者21例が確認されています。インドでは1日平均約34万人が感染し、約2600人が死亡するという異常事態で、医療酸素不足が深刻です。

10代以下にも高い感染力と重症化のリスク

 表中の特徴では指摘がもれていますが、変異ウイルスN501Y英国株は、若年層への感染力も高いと指摘されています。感染研によるとゲノム解析で変異株への感染と確定した1159人のうち、10代以下は225人で2割を占めたことが報告されています。従来株は10代以下の若年層に

f:id:rainbowsanda170422:20210509112547j:plain比較的感染しにくかったが、変異株は他の世代と同程度。学校でクラスターが発生すれば直ちに対策が必要と感染研の所長の脇田氏は述べています。ワクチンの接種対象の年齢は16歳からであり、子ども達は変異株には無防備状態です
 大阪府が4月5日までに確認された変異ウイルスの感染者の年代を調べたところ、若い世代に多い傾向も見られました。下図のグラフでは30代以下の割合が58.2%となり、このうち20代以下が46.4%と全体の半数近くを占めています。
 ブログ前半で既述していますが、変異ウイルス感染者は第3波の感染者全体と比べると重症化する割合が高くなる傾向が見られます。大阪府は第3波の感染者全体と4月5日までに見つかった変異ウイルスの感染者全体での重症者の割合を調査しています。それによりますと、重症者の割合は、第3波の感染者3.2%に対し、変異ウイルスでは4.7%となっています。

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連休明け新規感染7000人、第4波が猛威

 国内で8日、新たに報告された新型コロナウイルスの感染者が7244人となり、北海道、愛知、福岡など14道県で過去最多を更新。7千人台は1月16日以来。緊急事態宣言の対象となっていない群馬や石川、大分などでも悪化が進み、各地で「第4波」が猛威を振るい始めた結果です厚生労働省が8日に発表した感染状況指標では、人口10万人当たりの療養者数は17都道府県がステージ4(爆発的感染拡大)相当の30人以上。感染力の強い変異株の拡大による深刻さが浮き彫りなりました。感染拡大は全く治まる気配はありません。緊急事態宣言はまた延長されましたが、ただ延長されるだけで政府からこれまでの対策の失敗の検証の説明もありません。ただただ自粛の決意表明の菅首相の会見では、何ら国民にメッセージは伝わりません。厚労省の指標では、感染患者のうち病院などに入院できている人の割合を示す「入院率」が25%を下回り「ステージ4」相当となったのは大阪10%、兵庫14.8%、京都20.1%、宮崎20.5%の4府県。これは陽性でありながら不安を抱え入院すらできない人が多数いることを示しています。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い大阪府内では自宅で療養・待機を続ける患者が急増。入院や療養先の調整で待機中の人も含めると、4月29日現在で1万4000人を超えています。3月1日以降、12人が自宅療養・待機中に死亡したことも判明。一家4人全員が感染し、自宅療養中に夫の容体が悪化した女性が取材に応じ、「症状が悪化するまで何もしてもらえなかった」と悲痛な訴えが紹介されています(毎日新聞4月29日)。。
 一方、神戸市は5月7日、同市長田区の老人保健施設入所者と職員の計133人が新型コロナに感染し、うち入所者25人が死亡したと発表しました。市によると、これまでに感染が確認されたのは入所者97人と職員36人。市内では感染者が急増して病床が逼迫(ひっぱく)しており、死亡した25人のうち23人は医療機関に入院できず、施設内で死亡医療崩壊が大阪や兵庫では現実となっています。

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f:id:rainbowsanda170422:20210509123818j:plain死亡者数を世界と比較してみると、日本の新型コロナ感染死者数は中国、韓国と比べて圧倒的に多いといえます。新型コロナ感染が始まった頃、日本の死者は少ないなどと楽観的な見通しを述べていた専門家や政府関係者はこの事態をどう考えているのでしょうか。
 中国も韓国も比較的早くにPCR検査を徹底的に行い、感染者を隔離・治療を行うという科学的なコロナ感染対策を行った国です。片やわが国は当初よりPCR検査には消極的で、それは今もって続いています。

f:id:rainbowsanda170422:20210509093416j:plain最新データは下記リンクで確認してください。


 
日本のワクチン接種率

 現在ワクチン以外に新型コロナウイルスへの有効な対策はありません。ところがわが国の接種率は世界的に見ても驚くばかりの見劣りです。
 京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授が、5月6日の朝日新聞のオンライン取材に応じ、新型コロナウイルスの終息に向け、「できるだけ早くワクチン接種できるような状況に、総力を挙げてもっていけるかどうかにかかっている」とインタビューに答えています。山中教授は昨年3月に個人のウェブサイトを開設し、コロナ関連の論文解説や感染対策の呼びかけを続け

ています。今年2月には、ワクチンに関する情報発信を中心に内容をリニューアルした。山中さんは「ワクチンの論文など、できるだけかみ砕いて発信していきたい。ここでワクチン接種が広がらないと、来年の今ごろまた同じことを繰り返している可能性があると思う」。「終息に向かわせようとすると、7千万、8千万人は接種を完了させないと、目に見えた効果はないと思う」と指摘。2回接種を想定すると、1億6千万回を感染が広がりやすい冬までに済ませる必要があるとして、「ものすごい数が必要。それを本当にやる覚悟を思って今日本ができるかどうかっていうことが試されている」と述べています

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 下図のグラフは札幌医大フロンティア研ゲノム医科学が公開しているワクチン接種率と新規感染者の相関関係を表したグラフです。イスラエルは世界で最もワクチン接種を高い確率で行っています。一目瞭然でイスラエルの感染者は激減しています。片やわが国は変異ウイルスで感染拡大はするは、ワクチン接種は低迷するはで断トツに対策が遅れています。
 菅首相は5月7日の緊急事態延長の記者会見でワクチン接種を1日100万回にすると言いますが、その方法は示されません。ましてや接種はいつ完了するかについてもまともに答えられません。意気込みでコロナが阻止できる筈がありません。その一方でオリンピック選手には優先的にワクチン接種を行うと言い、わざわざ感染拡大のリスクを持ち込むオリンピック優先のちぐはぐな対応には、国民誰しも疑問を抱かざるを得ません。
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※上記HPのグラフはおすすめ表示をクリックでごらんください。

オリンピック開催のリスク

 東京オリンピックパラリンピックに向けて、4月28日夜に行われた5者協議より

 橋本会長は「ぎりぎりの判断として無観客という覚悟」と発言。東京オリンピックパラリンピックの観客上限の判断が再来月に持ち越しになるなど調整が続いています。→精神論で国民の命は守れません

 国際オリンピック委員会・バッハ会長:「苦難の時に日本の方々はへこたれない精神を示してきました。非常に厳しい状況でも、オリンピック開催は可能です」→バッハは利権しか頭にない。金の亡者が無責任なこと言うな

f:id:rainbowsanda170422:20210509135744j:plain 5者協議では東京大会を開催することで合意。懸案の観客数の上限については判断を6月に先送りすることが決まりました。→5者は利害関係者のみ。医療関係者やコロナ禍に苦しむ国民は不在
 大会組織委員会の幹部はこんな本音を漏らしています。

 大会組織委員会幹部:「中途半端に観客を入れるくらいなら無観客でいいと思っている。無観客であれば警備、医療、ボランティアなど人手も経費もかからないで済む」→冗談でしょ!選手・コーチで9万人に来日とか

 「開催」前提で協議が進む一方、政府の感染症対策分科会の尾身会長は開催の是非について議論すべきだとの見解を示しました。

 尾身会長は感染力が強いとされる変異ウイルスが拡大するなか、人の移動を極力抑制する必要があるとしています。→御用学者では中止と言えない?国民の命より地位ですか
 オリンピックとパラリンピックに参加するのは選手だけで約1万5500人。関係者を含めるとその数はどのくらいになるのでしょうか。

 立憲民主党・長妻副代表:「無観客でも選手団あるいはコーチとか関係者とかマスコミとかIOC国際オリンピック委員会)とか含めて最大9万人という報道もありました。そこらへん尾身先生いかがですか?」→どれだけの大会関係者が来るかも把握できていない

 政府の分科会・尾身会長:「直前になって判断するということはあり得ませんので、前もってですね、オリ・パラの議論についてもう真剣に考えていく時期で、(議論は)当然のことだと私は思います」→開催期間迫るも何も決まらない
 大会組織委員会・橋本会長:「尾身会長のご発言も承知をしておりますけれども、安心安全、最優先の大会をどのように目指していくかということで合意をしております」→意味不明

 5者協議では感染防止策を強化することでも合意。すべての大会関係者は出国する前に2回検査を受けること、大会期間中、選手は原則、毎日検査を受けること、行動範囲は宿泊先と練習会場などに限定するなどのルールが新たに決まりました。→やっぱり無責任ですよ!こんな人達が国民の命の預けることになるとは

 東京オリンピック期間は7月23日〜8月8日。

コロナ禍でも病床削減、看護師削減の法案可決

 「病床削減推進法案」が4月8日の衆院本会議で自民党公明党日本維新の会、国民民主党の賛成で可決され、参院に送付されました。日本共産党立憲民主党は反対。まさにコロナ禍のどさくさ紛れの火事場泥棒のような与党のやり口です。

 コロナ禍で195億円かけて病床削減する菅政権、正気の沙汰ではない 病床逼迫し、医療崩壊が進む危機的状況で、政府は「病床削減」や「統廃合」を行った医療機関に配る給付金に、消費税増税分を充てて恒久化を狙っています。

 社会保障費の大削減をたくらむ政府が盛んに持ち出すのは、病床数が多いから医療を「非効率」にし、公的医療費を「膨張」させているとの言い分です。そのため政府は2025年度までに救急を中心に約20万床を削減する方針を打ち出し、地域ごとに再編統合や病床削減を押し付けようとしています。

 コロナ禍で病床がひっ迫し、各地で患者が行き場を失う状況に陥ったのは、医療機関に余力がなかったためです。すでにギリギリの地域医療体制のもとで、さらなる病床削減を迫ることは、力をそぎ落とすことにしかなりません。原資に消費税増税分をあてるということも大問題です。“社会保障のため”という増税の口実はいよいよ成り立ちません。

 「病床削減推進法案」には、医師数の増員に背を向け、勤務医の長時間労働を温存・加速する内容も盛り込まれています。さらにこの法案では看護師の人員削減も狙っています。高度急性期、急性期、回復期(回復期のみ6.2万人→13.5万人に増員)、慢性期合わせて、看護師5万人の削減、重症病床の看護師は11万人も削減しようとしています。

 菅政権にとってはコロナ感染拡大で医療ひっ迫などお構いなしというデタラメ振りです。

厚労省、変異株の抽出検査不要?
第5波の予測あるのに

 厚労省の専門家組織は5月6日、関西圏では従来株から「N501Y」変異株に置き換わったと推定され、東京都や愛知県でも置き換わりが進んでいると分析。厚労省は各自治体に変異株の抽出検査を患者の40%に行うよう求めていたが、置き換わった地域では続ける必要性は低いとして運用を改める方針といいます。

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 全くバカげた方針です。変異ウイルスはN501Yで終わりではないことは素人でも分かることですが、厚労省の方針変更には目を疑います。世界中が変異ウイルスで多数の犠牲者を出している最中、異常な方針です。目前に猛威を振るうインド変異株にWHOも危機感を強めているのにです。

 秋、第5波到来か

 NHKのコロナ特設サイトがAIで第5波の予測シミュレーションを行っています。
まずは、ワクチン接種を行わなかったとした場合です。(グラフのオレンジ色の線)
いま増え始めている「第4波」の新規感染者数は5月中旬にはピークを迎え、いったん減少しますが、さらにその後10月ごろに、「第5波」となる急速な感染拡大が起こりうるという計算結果となりました。

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 では、4月から本格的に始まったワクチン接種によってこの感染拡大をどこまで抑え込めるのか。予測に必要なのは「ワクチンの有効性の高さ」と「接種のスピード」に関する情報です。
 イスラエルのワクチンによる押さえ込みのデータを使ってシミュレーションしてます。
詳しくは上記HPをご覧ください。結論は第5波のリバウンドはあるが、ワクチンでどれだけ押さえ込めるかにかかっています。現状、政府の対応のチグハグさやオリンピック開催など高いリスクがそのままでは、ウイルスが活性化する秋口の状況は全く見通せません。

 信頼できる政府を持つことがいかに重要か、コロナ禍は教えてくれてます。ただ、ひとり一人の国民の責任と覚悟が一層問われるのが今のわが国の厳しい社会状況です。